【検証】消えたリオ五輪。なでしこ立て直しに私たちができること (2ページ目)
この予選では、"澤ロス"がまことしやかに語られていたが、本質的に言えば、"宇津木(瑠美)ロス"だ。昨年急激にチームにフィットした宇津木は澤を押しのけ、定位置を手に入れた。カナダワールドカップでは彼女の成長が、重要なファクターとなった。その宇津木がコンディション不良で予選メンバーから外れることがわかったのは2月中旬の沖縄キャンプだった。
それでも、佐々木監督はキャンプ中でも宮間のボランチの形を崩すことはなく、川村は主力組のCBとして起用されていた。熊谷が入れば、おのずと押し出されるのならば、なぜここで川村にボランチの感覚を入れ込ませなかったのか。川村が迷えば、最終ラインの位置取りも遅れ、サイドのカバーリングにも支障が出る。すべての連動にズレが生じる。不安要素を抱えたままの川村が安全策を優先しがちになるのも無理はない。消極的な判断はその後、致命的なミスを引き起こした。この一連の流れは、決して川村だけの責任ではない。
宮間をボランチで起用すれば、各国の"封じ手"が放たれることは十分に予想できたはずだ。毎年3月に開催されているアルガルベカップではこの2年、"日本封じ"が行なわれ、それに屈した試合も少なくない。徹底的にマークを受ける宮間が潰され、トップの大儀見優季(フランクフルト)も厳重マークで足止めされる。得点源であるホットラインを封じられる日本の姿をアジアのライバル国が研究材料にしないはずがない。初戦から3戦の相手国から見れば、日本の戦い方が想定範囲を超えることはなかった。
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