【検証】消えたリオ五輪。なでしこ立て直しに私たちができること (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by HayakusaNoriko

 ここ最近の得点力不足を改善しようと、攻撃面に重点を置きたいのも理解できる。しかし、実際にはすべての試合で前半に日本が決定機を作っていたが、ゴールを割れずにミスから自滅した。相手は前半をしのぎ、プレスをかけてミスを誘ってゴール奪取という図式を描き、どのチームも成功させていた。

 初心に戻り、「しっかりと守備から入ろうと確認した」(鮫島彩)という北朝鮮戦は、初めて無失点試合となった。攻撃につなげる守備がなでしこたちのサッカーの根底になければならない。原点回帰の結果の勝利だった。

 これまでも危機は何度もあったが、そのつど、ミーティングをして立て直してきた。今回も例外ではない。カナダワールドカップでは仏に徹してチームを作った宮間だったが、後がなくなった中国戦を前に、キャプテンとして今一度厳しく気持ちを奮い立たせる決意をした。

 ベテランは当然のことながら、岩渕真奈(バイエルン)や横山久美(AC長野)といった若手も同じ温度で危機感を持っていた。それでも、結果にはつながらなかった。選手たちを袋小路に陥れたのは、いつもなら決まっているはずのゴールが決まらない。止められているはずのシュートが決まってしまう。やれることをやっていても結果が出ないという、経験したことのない焦燥感だったのかもしれない。八方ふさがりのまま、立ち止まってはいられない中1日の連戦。完全に出口を見失っているように見えた。選手間で解決できない状況が発生した場合、満身創痍となった選手の心のケアも必要だったのではないだろうか。

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