【なでしこ】ゼロからやり直す。北朝鮮戦の阪口夢穂が残したもの (4ページ目)
この試合で阪口は近賀ゆかり(INAC神戸)とともに、代表戦出場100試合目を迎えた。試合数が少ない女子選手にとって、100試合は大きな数字だ。阪口が歩んできた長い道のりがその数字に表れている。
「5戦目にして、やっと自分の生きる場所を見つけた気がします。もっと早く決断するべきだった……」
手応えとともに、湧き上がる悔しさ。阪口が最後に見つけたものは、自分の場所であり、それは最初に取り組んでいた懐かしい場所でもあった。
すべての戦いを終え、2勝2敗1分の3位。2位の中国との差は勝ち点4だった。阪口をはじめ、宮間、近賀といった選手たちは、先輩から受け取ったバトンを必死につないで、手探りの中、世界一への道のりを築いてきた。特に北京オリンピック以降、彼女たちの奮闘がなければ、今のなでしこジャパンの地位はない。頂点まで引き上げ、そしてゼロに戻す――なんと酷なことか。誰に責められなくとも、想像を絶するほどの自責、悔恨の念が今、彼女たちを苦しめている。
確かに、この予選で失ったものは大きい。これから先、本気で再び頂点を目指すのであれば、現状から目を逸らさずに徹底した検証が必要不可欠だ。だが、その問題と選手たちが自ら背負いこもうとしているものは別だ。重い十字架を彼女たちが背負う必要はないのではないか。勝負の世界は、懸命な努力を重ねたからといって100%報われるということはない。こうして流れは変わっていくのだろう。
今ここから何かが始まれば、この予選も意味があるものに変わる。きっと、ともに戦った若きなでしこたちが、その答えを見つけてくれるはずだ。
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