【なでしこ】ゼロからやり直す。北朝鮮戦の阪口夢穂が残したもの
2008年に佐々木則夫監督が就任後の東アジアカップで、初戦に対戦したのが北朝鮮だった。当時の北朝鮮は日本の格上。そこで逆転勝利をおさめた日本は、その夏の北京オリンピックで史上初のベスト4進出を果たした。現在のなでしこジャパンの主力組にとって、世界への手応えを初めて掴んだ忘れがたい試合となっている。奇しくも、佐々木監督最後の采配は、北朝鮮戦。ケガで調整が遅れていても、最後まで起用しつづけた愛弟子である岩渕真奈(バイエルン)の決勝ゴールで有終の美を飾った。
攻守にわたり、なでしこらしさを生む中心となっていた阪口夢穂 ようやく、なでしこらしい連動が見られた。北朝鮮の強力なプレッシングに真っ向対決。流れは日本がしっかりと掴んでいた。ボランチに入った宮間あや(湯郷ベル)が左へ流れれば、右サイドハーフの中島依美(INAC神戸)がすかさず中へカバーに入り、その動きに合わせて横山久美(AC長野)が走り込みながら位置を調整する。
左サイドでは、ひとつポジションを上げてハーフに入った鮫島彩(INAC神戸)がサイドバックの有吉佐織(日テレ・ベレーザ)とともに切り崩そうとサイドをえぐる。試合直前まで降り続いていた雨の影響でたっぷりと水分を含んだピッチ。立ち上がりこそ、スピードに乗れず手こずっていたものの、随所に浮き球を織り交ぜながら次第に日本がゲームを支配していった。
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