日本サッカー界は今、いい意味で混沌としている (3ページ目)
ポスト本田、ポスト香川――。そうした目で日本代表を眺めた時、気になる存在に見えるのが、チュニジア戦で代表デビューを飾った宇佐美貴史だ。後半27分に交代出場した彼は、ポストに当てる惜しいシュートを1本放っていた。その他のプレイもまずまず。次を期待したくなる出来だったが、この親善試合2戦には招集した選手を全員使う狙いがあったため、ウズベキスタン戦でピッチに立つ可能性は低そうなムードだった。
しかし、そうしたこちらの予想は外れた。登場したのは後半18分。その9分前に岡崎がマークしたゴールで、スコアは2−0。しかしながら、ウズベキスタンがじわじわと地力を発揮し、反撃ムードをみなぎらせていた時でもあった。ウズベキスタンがここでゴールを奪えば、試合は予断を許さない状況にあった。まさに試合のキーポイントで、宇佐美は投入された。この日、6度行なわれた交代の中で、最も試合の流れに即した、勝負を意識した交代だった。
その宇佐美に代表初ゴールが生まれたのは、後半38分。ウズベキスタンにゴールを許した1分後だった。ドリブルで真ん中を強引に、周囲を敵に囲まれながらも割って出て、右斜め45度からGKの逆を突いた一撃。見映えのいい鮮やかなゴールだった。試合後の会見で、「5ゴールの中で、どのゴールが最もスペクタクルだったか?」と問われたハリルホジッチは、青山敏弘の先制弾と、柴崎岳の3点目を挙げたが、本心はどうだっただろうか。少なくとも、ポスト本田、ポスト香川の目で試合を眺めていたこちらには、宇佐美が挙げたゴールのほうが勝っているように見えた。
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