スター軍団から2部チームへ。元ヤングなでしこ田中陽子が下した勇断
3月特集 アスリートの春 ~卒業、そして新天地へ~(11)
INAC神戸からノジマステラ相模原神奈川に今シーズンから移籍した田中陽子 2010年のU-17女子ワールドカップで準優勝、2012年のU-20女子ワールドカップで3位、2013年には初めてなでしこジャパンに招集――JFAアカデミー福島からスター軍団のINAC神戸レオネッサに入団した田中陽子の経歴はもちろん"輝かしい"と言えるだろう。
しかし、INACで田中に定位置はなかった。なでしこジャパンでも不完全燃焼。今オフ、21歳の田中は移籍という大きな決断を下す。新天地として、なでしこリーグ2部のノジマステラ神奈川相模原を選んだ。常に注目を浴び、1部での優勝が求められるINACに対し、ノジマは2012年に誕生したばかりの今シーズン1部昇格を狙うチーム。全く異なる状況のノジマの門を自ら叩いた田中の決断の裏には、どのような思いがあったのだろうか。
なでしこジャパンは今年6月にFIFA女子ワールドカップ(カナダ)、来年にはリオデジャネイロオリンピックが控え、まさにビッグイヤーを迎えようとしている。
3月に行なわれたアルガルベカップ(ポルトガル)では、ともに各世代代表として戦ってきた同期・横山久美(長野パルセイロL)がなでしこ入りを果たした。なでしこ入りへの猛アピール合戦が繰り広げられている最中の2部への移籍は勇気が必要な決断だ。しかも、田中はオファーを待つのではなく、自ら動いた。
「INACでの3年間は、いろんな面で自分に納得できていませんでした。でも、2020年のオリンピックは頑張りたい。その目標に向かっていくにはどうしたらいいかって思ったら、環境を変えて、自分が一番成長できると思うところでやりたいなって思ったんです」
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