ハリルJAPANで現実を知った「決して喜べないゴール」

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki  photo by AFLO

 ハリルホジッチと言われても、予備知識豊富な人は少ない。すごい監督なのか、たいしたことはない並の監督なのか。そのあたりについて詳しい人より、詳しくない人のほうが圧倒的に多いだろう。新監督はいったいどんなサッカーをする人物なのか。チュニジア戦最大の焦点は、そこだったはずだ。

先制ゴールを決めて喜ぶ岡崎慎司と本田圭佑先制ゴールを決めて喜ぶ岡崎慎司と本田圭佑 アギーレの時も、ザッケローニの時もそうだった。代表チームの新外国人監督の戦術、サッカーゲームの戦い方に目を傾けることは、もはや慣例になっている。

 布陣は4−2−3−1。サッカーそのものも攻撃的な部類に入るが、そうした意味での衝撃は、今回まったくと言っていいほどなかった。従来と大きく異なる点は、見えてこなかった。

 強いて特徴を挙げるなら、この試合に、いわゆるベストメンバーを編成して臨まなかったことにある。スタメンは、アジアカップとは7人変わっていた。

「できるだけ多くの選手を見てみたいので、これまであまり使われてこなかった選手を多く選んだ」と、ハリルホジッチは言った。就任記者会見では、「3月の試合は従来のメンバー中心」「その後は、試合ごとに選手が入れ代わる可能性が高い」と述べたが、フタを開ければ、初っ端から、彼はいろいろな選手を試そうとした。

 その結果、どういうことが起きたか。こちらの目まで選手に向くことになった。新監督ではなく選手。ハリルホジッチと同じ目線で、新生日本代表を見つめることになった。主役は、気づけば交代していた。どの選手がどれくらいやれるのか。それは我々にも興味深いテーマとして映ったのだ。

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