諸刃の剣!? ハリルホジッチ監督の3つの不安材料

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Reuters/AFLO

「みなさんに私たちのやる気を見せたい」

 初めての代表メンバー発表会見でそう語ったヴァヒド・ハリルホジッチ監督には、確かに底知れぬ野心が満ち溢れていた。

 会見席の前に立ち、読み上げた選手が会場に設置されたスクリーンに映し出されるという手法もこれまでにない斬新さだったが、それ以上に驚かされたのは、彼の口からバックアップ12名を含めた計43名もの名前が読み上げられたことだった。

 バックアップメンバーを敢えて発表することに関しては、「グループが大きいこと」や「モチベーション、準備、これから競争が始まる」というメッセージを伝えたかったとしているが、それにしてもたった2試合の親善試合で31名を招集するのは異例中の異例。その中には故障中の長友佑都や内田篤人といったヨーロッパ組も含まれているのだから、それだけでも彼の"やる気"が半端なレベルではないことが見て取れる。

 ただし、現時点では頼もしく映る彼の前のめりな姿勢も、手放しで喜んでばかりはいられない。"やる気"とは、結果が伴わなければマイナスに転じ、時として空回りしてしまうことがあるからだ。しかも彼には、その「空回り状態」によって失敗した苦い経験もある。

 思い出されるのは、彼がパリ・サンジェルマン(PSG)を率いていた2004-2005シーズンのことである。

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