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グアテマラ戦、ガーナ戦出場21選手、識者たちの採点表 (2ページ目)

  • 写真●梁川剛 photo by Go Yanagawa

常識外れだった選手交代――杉山茂樹

 グアテマラ戦の選手交代は「計画通りだった」と試合後の会見で語ったザッケローニ。だがそれが真実かどうかは疑問である。ではガーナ戦の交代はどういう計画の下に行なわれたのか。後半ロスタイムの交代も計画にあったのか。槙野智章の出場時間は10秒。国際親善試合の交代の常識から著しく反している。選手に失礼だと僕は思う。対してガーナの監督は後半開始から粛々とカードを切っていった。それが国際親善試合のやり方だ。

GK
西川周作 6 
グアテマラ戦に先発。フィードのスムーズさとテクニカルなプレイを見せた。次のセルビア、ベラルーシ遠征で、どちらか1試合スタメンを飾ることができれば、川島との差は従来に比べ、接近したと見ていいだろう
川島永嗣 6.5 
グアテマラ戦の西川より数段忙しかった。その分だけ、存在感を際立たせることになった。1失点は、彼の責任ではない
DF
長友佑都 5.5 
ウルグアイ戦でスタメンを酒井高に譲ったことで、この2試合はいつもより比べられる立場にあった。かつてとの比較では爆発力が落ちた気がする。グアテマラ、ガーナ相手なら、もう少し高い位置でプレイして欲しい気もするが、基本的にその前で構える香川のポジショニングが不安定なので、あまり長友を責める気にはなれない。香川がその前で構える限り、日本の左サイドバックがひときわ大変なポジションであることは知っておくべきである。その一方で、長友の躍動的な動きに日本が支えられていることも事実。その活気あるプレイこそが、日本のバロメーターといっても言いすぎではない
森重真人 5.5 
東アジア杯から着実にポジションを上げ、伊野波を抜いて控えの一番手に昇格した。ガーナ戦では交代で、3バック(5バック・守備固め)要員として出場。実は守備的になりつつあるザッケローニの自らの身を守ろうとする精神が、森重の出場機会に直結しそうな状況にある
吉田麻也 5 
3年前のデビュー当時より、ドタドタ感が増している。周囲を眺める余裕も見られない。だが、ザッケローニは吉田を温かい目で見つめている。スタメンから外そうとせず、3バック(5バック)にすることで、守備の安定を図ろうとしている
酒井高徳 5.75 
ウルグアイ戦は左、グアテマラ戦、交代出場したガーナ戦は右。左右両方できるユーティリティ性がセールスポイント。若干タイプが被る駒野は、選ばれにくくなっている。見てみたいのは長友の右、酒井高の左だ。長友も左右両方務まるはずなので、実現可能なはずだが
内田篤人 5.5 
ザッケローニは内田が嫌いなのか? ガーナ戦、なぜ交代の一番手として内田を下げたのか。そこまで出来は悪くなかったと思うが。内田にしてみればプライドを傷つけられた感じだろう。シャルケのSBが、シュツットガルトのSB(酒井高)に追い上げられている図は、外野目線ではとても興味深いが
今野泰幸 5.5 
記憶が正しければ、彼はザックジャパンで、守備的MFとしてプレイした経験がないハズ。遠藤、長谷部のプレイが硬直化してしまった今、さらにいえば、森重が徐々に慣れてきた今、彼のその多機能性に目を向けたくなる。そのボール奪取には、まるで「塗り壁」のような嫌らしさがある。ゲームの流れも見えている。無駄だと知りつつ言わせてもらえば、山口螢、細貝萌より、現実的な選択だと僕は思う
槙野智章 - 
MF
長谷部誠 4.5 
ミスをしたり、冴えのないプレイをした後、萎縮してしまうのが、スタンドからの目線でもよく分かる。出ずっぱりのキャプテン。ポジションはチームのヘソと言うべき守備的MF。大将気分で偉そうにプレイできる立場にいるにもかかわらず、真面目にプレイしてしまう。隣に遠藤がいる影響もあるのかもしれないが、もっと胸を張ってプレイすべきだと思う
遠藤保仁 4.75 
このチームはザックジャパンと呼ばれる。本田なしでは試合が動かないこともよくあるので、本田ジャパンとも呼ばれるが、中心選手はどう見ても遠藤だ。遠藤ジャパンという人はいないが、中盤のしきり屋は紛れもなく遠藤だ。遠藤のリズムで日本のボールは動いていく。その遠藤のプレイに決定的に欠けているのがサイドチェンジ、逆サイドへの展開だ。逆サイドを気にしたプレイをしていないのだ。必然、パスは真ん中に集まる。それが悪い奪われ方に繋がる。守備陣のパニックを誘発する。安定したボールさばきに定評がある遠藤だが、遠藤中心のパスワークに日本の明るい未来は見えてこない
青山敏弘 5.5 
グアテマラ戦で登場。夏の間に高橋秀人を追い落とし、代表に続けて選出。遠藤、長谷部に続く、3人目の守備的MFを本気で育てようとするなら、多少の失敗には目をつぶり先発で使うべき
山口螢 5.5
後半の最後に守備固めで登場。使われ方は細貝に似ている。細貝は長谷部の累積警告で、メキシコ戦で頭から起用されるも、逆に90分間のプレイが苦しいことを露呈させた。山口の場合もやや細貝似だ。長い時間ピッチに立つだけのスケールを感じない
本田圭佑 6 
後半、救世主のような感じで登場したグアテマラ戦と、先発で出場したガーナ戦は、別人に近かった。ガーナ戦は重かった。ボールを嫌な形で奪われるシーン続出で、それが日本のピンチにそのまま直結していた。かつては香川が中に入れば、外に開いたり、消える動きを交えながら頭脳的にプレイしていたが、最近はそうした余裕が失われている。オレオレ系になっている。柿谷が加わってからは、プレイの位置も下がっている。中盤色(真ん中色)を強めている。体調は一時に比べて2割ダウン。超人的なボールキープを披露したかつてに比べると、明らかに落ちている。プレイに無理が増えている。本田にボールを預けておけば安全だったのはかつての話。ボールを失う率は増している。そこからピンチを招くシーンも増えている
清武弘嗣 4.75 
岡崎に比べるとプレイに癖がない。香川に似ているけれど、香川には劣る。本田に比べるとスケールが小さい。柿谷、大迫に比べると、シュートシーンが連想しにくい。清武らしさをキャラ立ちできずにいる
香川真司 5 
ガーナ戦の後半5分、長友からボール受け、カットインして中に入り、相手DFのマークの甘さにつけこんで放ったミドルシュートは、手放しで喜べるものだった。それが決まる前と、決まった後では、別人に近いものがあった。決まる前は、グアテマラ戦同様、変に我の強いプレイを見せていたが、決まった後は一転、リラックス。ここ数試合の中では最もよい動きを見せた。いまの香川に欠けているのは自信。我の強いオレオレ系の動きは、その不安の表れ、焦っている証拠だと思う
岡崎慎司 5 
グアテマラ戦の岡崎はあまり活躍できなかった。弱い相手に優位に立とうとすれば、まず示すべきは技術になる。マイボール時のプレイになるが、強者を相手にした場合はその逆。まず問われるのは相手ボール時のプレイだ。あまりにも弱いグアテマラを前に、岡崎は逆に焦った。技術で勝負しなければならなくなったからだ。こうした試合に岡崎は向いていない。だが、本番にはグアテマラはいない。対戦するのは強者ばかり。弱者相手に活躍できないと、選手の評価は普通、下がるものだが、岡崎は例外。弱者に弱く強者に強い。この看板が健在である限り、岡崎の将来は明るい
工藤壮人 5 
岡崎を追う存在だが、4-2-3-1の3の右に限れば、岡崎より工藤の方に適性はある。清武よりも決め手がある。簡単には外れない選手になっている
齋藤学 - 
彼は何も悪くない。悪いのは、わずか5分程度しかプレイさせなかった監督にある。ザッケローニは勝利を確信し、布陣を5バックに変更し、絶対大丈夫な段になって、やっと思い腰を上げた。ご当地・横浜の選手だというのに。これではテストにもなっていない
FW
大迫勇也 5 
グアテマラ戦。ザッケローニはなぜ大迫を45分で引っ込めたのか。「当初の計画通り」とザッケローニはいうが、結果が欲しくて柿谷に代えたのではないか。弱者相手の親善試合にも、まず結果ありきで臨んでいるところに問題がある。その余裕のなさが、メンバー固定の弊害に繋がっている。大迫の魅力はユーティリティ性の高さ。東アジアカップでは豊田の1トップ下を見事に務めている。A代表でもそれは可能。すると、本田を一列下げることが可能になる。怪しくなっている守備的MFにコンバートする環境が整う
柿谷曜一朗 5 
早々に代表レギュラーになったが、その善し悪しを論ずる比較対象はあくまでも前任者。ビッグクラブから今にも誘いの手が伸びてきそうな、圧倒的な力を発揮しているわけではない。人気先行型。評価を確定していない。褒めすぎが気になる
監督
ザッケローニ 4 
3-4-3といえば聞こえはいいが、グアテマラ戦、ガーナ戦の終盤に見せた3バックは、事実上の5バックだった。攻撃的サッカーの布陣ではない。原技術委員長の願っているサッカーとはコンセプトが180度異なるサッカーだ。強者に対し4試合で13ゴールを喫したザッケローニは、今、密かに方向転換を図ろうとしている。日本のサッカーを守るのではなく、自らの立場を守ろうとしている。解任するならいまでしょ。大義名分は十二分にある

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