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【ワールドカップ】ブラジル、イングランド、日本...続投する代表監督たちも苦悩は続く

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

辞任か続投か~代表監督はつらいよ(後編)

【前編】サッカー日本代表はぬるま湯? 世界では勝てなかった代表監督が次々と去っていった>> 

 たった1試合の敗戦でクビが飛ぶこともある代表監督。だが、代表監督を苦しめるのはそれだけではない。辞めることではなく、辞められないことだ。ワールドカップが終わってもピッチ外の笛は鳴り止まない。批判は続き、世論は収まらず、次の代表戦は容赦なく近づいてくる。

 まさにその渦中にいるのがカルロ・アンチェロッティだ。世界で最も成功したクラブ監督のひとりであり、欧州5大リーグを制し、チャンピオンズリーグを何度も勝ち抜いてきた名将である。だが、その男がブラジル代表を率いて初めて臨んだワールドカップの結果は、期待とは程遠いものだった。

続投するカルロ・アンチェロッティ、森保一の両代表監督 photo by JMPA続投するカルロ・アンチェロッティ、森保一の両代表監督 photo by JMPA ブラジルがノルウェーに敗れたからではない。ブラジル人が受け入れられなかったのは、その戦い方だった。この国では、「どう勝つか」が「勝ったかどうか」と同じくらい重要である。「ジョゴ・ボニート」――美しく、自由で、見る者を魅了するサッカー。それは単なるプレースタイルではない。ブラジルという国のアイデンティティーそのものだ。だから、内容の乏しい勝利も、消極的な試合運びも、人々の心には残らない。敗退後、ブラジル国内では批判が一気に噴出した。

「これはブラジルのサッカーではない」
「なぜ外国人監督に未来を託したのか」
「ブラジルらしさはどこへ行った」

 矛先は、すべてアンチェロッティへ向かった。

 重圧を背負ったのは彼だけではなかった。アシスタントコーチを務めていた息子のダヴィデ・アンチェロッティにも非難が集中した。大会終了後、ダヴィデはフランスのリールの監督に就任し、ブラジルを離れることになった。新しい挑戦であると同時に、この終わりの見えない騒動から距離を置くという意味もあったのだろう。

 さらに、アンチェロッティの家族までもが、この状況に疲弊していると伝えられている。彼のカナダ人の妻は、夫に代表監督を辞めてほしいと望んでいる。批判も重圧も、ブラジルという国がサッカーに注ぐ熱量も、想像をはるかに超えていたからだ。

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