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【ワールドカップ】ブラジル、イングランド、日本...続投する代表監督たちも苦悩は続く (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

【代表監督を続ける勇気も必要】

 そのスペインに決勝で敗れたアルゼンチンのリオネル・スカローニも、ベンチに残ることを選んだ。試合終了後の会見で、彼の目には涙が浮かんでいた。あと一歩届かなかった悔しさ。4年間積み重ねてきた時間が終わった寂しさ。その両方が、静かな表情ににじんでいた。それでも彼は、辞任という言葉を口にしなかった。

「このチームには、まだ未来がある」

 会見で語ったそのひと言に、彼のすべてが表れていた。少なくとも2026年末までは指揮を執り、その先のことは時間をかけて考えるという。感情に流されて決断しない。それがスカローニという監督であり、アルゼンチンが彼を信頼し続ける理由なのだろう。

 その立場は、日本代表の森保一監督にも重なるかもしれない。ワールドカップで日本はまたしても「新しい景色」へあと一歩、届かなかった。それでも日本サッカー協会は森保の続投を決めた。

 1試合の勝敗で評価したわけではないのだろう。8年間という積み重ねだ。森保が築いてきたものは、結果だけでは測れない。日本代表は、世界の強豪と互角に戦うことが当たり前のチームになった。海外で活躍する選手は増え、世界は日本を「勝って当然の相手」ではなく、「油断できない相手」として見るようになった。

 もちろん、課題は残る。「あと一歩」とはいえ、その一歩が最も困難かもしれない。ただ、それは監督ひとりで埋められるものではない。日本サッカー全体で越えるべき壁だ。そう判断したからこそ、協会は来年のアジアカップまで同じ監督にその続きを託したに違いない。「勝てなければ去る」が当たり前になった今日のサッカーで、異例の決断であることは確かだ。

 いずれにせよ代表監督には、辞める勇気だけではなく、続ける勇気も必要なのである。

 アメリカのマウリシオ・ポチェッティーノ、トルコのヴィンチェンツォ・モンテッラ。ノルウェーのスターレ・ソルバッケン、ウズベキスタンのファビオ・カンナバーロ。そして、パナマを2度目のワールドカップへ導いたトーマス・クリスティアンセンもまた、続投という道を選んだ。だがそれは「安定」を意味しない。むしろ、次の失敗まで猶予を与えられたにすぎない。代表監督とは常に期限付きの仕事なのだ。

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