【ワールドカップ】ブラジル、イングランド、日本...続投する代表監督たちも苦悩は続く (2ページ目)
【クラブでは成功を収めても】
大会終了後、アンチェロッティ一家はブラジルへ戻らず、バンクーバーに滞在している。契約は2030年まで残っている。だが、果たしてアンチェロッティがリオデジャネイロへ戻る日は来るのか。いま、その問いに答えられる者はいない。
イングランド代表のトーマス・トゥヘルもまた、似た立場に置かれている。契約はユーロ2028まで。だが、その契約にはひとつの条項が盛り込まれているという。結果次第では延長もあるが、逆に途中で切られる可能性もある。代表監督の契約書は、クラブ以上に冷徹だ。
アルゼンチンとの準決勝。あと一歩届かなかった敗戦は「惜しかった」では終わらなかった。「なぜ勝てなかったのか」という問いだけが残った。イングランドは1966年以来、ワールドカップを掲げていない。半世紀以上積み重なった期待は、ひとりの監督では受け止めきれるものではない。メディアは疑問を投げかける。サポーターは失望を隠さない。評論家たちは次の監督候補を語り始めた。
トゥヘルは続投する。しかし、その椅子は決して安定していない。クラブサッカーでは、タイトルを積み重ねれば名将と呼ばれる。だが、代表監督には別の時間が流れている。4年に一度というわずかな機会のために準備を重ね、たった数試合で評価が決まる。積み上げた実績も、世界的な名声も、その瞬間、何の保証にもならない。アンチェロッティもトゥヘルも、その現実を痛いほど知ることになった。
残ることにもまた覚悟がいる。ワールドカップが終わっても、戦いは終わらない。代表監督に休息はない。大会が終わったその日から次の4年間が始まる。ベンチに残ることを選んだ監督たちは、その現実を誰よりも知っている。
ルイス・デ・ラ・フエンテは、その資格を自らの手で勝ち取った。スペインを世界王者へ導いた今大会で、彼が築いたチームは最後まで自分たちのサッカーを貫いた。勝ったからではない。どんな相手にも自分たちのスタイルを曲げなかったことが、スペインの人々に支持された理由だった。代表監督という仕事は、結果だけでは測れないところがある。国がどんなサッカーを望むのか。その答えを体現できるかどうかも問われる。デ・ラ・フエンテはその問いに応えた。だから彼の物語はまだ終わらない。
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