柿谷にも大迫にも、合格点はあげられない
名波浩の視点
ガーナに3-1で快勝した日本代表。コンフェデレーションズカップ以降、課題に挙がっていたディフェンスは、不運な形で1失点は喫したものの、改善の兆しを存分に見せてくれた。
ガーナ戦では、チーム全体の守備への意識が非常に高かった。
まず何より、最終ラインから最前線までの、守備のブロックの作り方がとても良かった。そのうえで、各選手の横のスライドがものすごく速くて、ブロックごとの縦関係の作り方も非常にスムーズだった。結果、相手がショートパスでつないでくる展開に対して、ほぼパーフェクトに対応し、狙いどころを絞って、うまくボールを奪っていた。ボールを奪ったあとの、ファーストプレイでもほとんどミスがなかったので、思わぬ形から守備が崩壊してしまうこともなかった。
途中から日本の手堅い守備を前にして、ガーナが少し距離を長くしたパスやサイドチェンジのボールなどを増やしてきたけれども、そこでも混乱することはなかった。これまでの試合では、相手がそうした仕掛けを試みてきた際には、最初に作ったブロックの高さを保てなくなることが多かったが、この日は最後まで高い位置を保っていた。チームの共通認識のもと、最後方から最前線まできちんとコミュニケーションがとれていて、誰もが全体をコンパクトにして戦おうという意識を持ってプレイしていた。
そんなチーム全体のつなぎ役を果たす、ふたりのボランチの働きぶりも際立っていた。献身的によく動いて、前線にも効果的に顔を出して、後方のカバーリングもきっちりこなしていた。彼らを含めて、グアテマラ戦、ガーナ戦と2試合でいい結果を残せたのは、代表メンバーが長い時間を一緒に過ごして、十分なトレーニングを消化できたことが大きかったと思う。
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著者プロフィール
名波 浩 (ななみ・ひろし)
1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍