大山鳴動して柿谷曜一朗ひとり。変われなかったザックジャパン

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

 コンフェデ杯後の騒ぎはいったい何だったのか。このままではマズイとの危機感はもはやどこにも見られない。結局、大騒ぎしたわりに顔ぶれに変化は起きなかった。大山鳴動してネズミ一匹ならぬ、柿谷曜一朗ひとり。大きかったはずの話は、尻すぼみに終わった。

 ひと夏越せば、人間には何がしかの変化が起きるものだ。2学期初日、登校してみるとクラスの仲間のいろいろな変化に驚いた記憶がある。急に大人っぽくなった子、魅力的になった子、学力を伸ばした子、等々、9月初頭というこの時期は本来、そうした眩しい変化が目に飛び込んでくる季節だ。

 団体競技ならば、夏合宿を経て、いい感じで成長を遂げていなくてはならない。プロスポーツならそれをファンの前に示す義務がある。ザックジャパンはグアテマラ、ガーナとの2連戦で、成長した眩しい姿をファンにご披露する使命を課せられていた。特にグアテマラより若干強いガーナとの一戦は、その格好の機会だった。

ガーナ戦に先発した柿谷曜一朗。ゴールはならなかったガーナ戦に先発した柿谷曜一朗。ゴールはならなかった そのスタメンに、現時点でのベストとおぼしき選手が並ぶであろうと考えるのは当然だった。

 本番までの日程を眺めると、変わらなければいけないタイミングだった。にもかかわらず、変わらなかった。ザッケローニは守りに入った。変わったのは11人中わずかに1人。前田遼一が去り、柿谷が加入しただけ。唯一の変化である柿谷も、欧州のビッグクラブが目を凝らすようなプレイは披露できなかった。チームが成長したという実感はまるで湧かない。右肩上がりの傾向は見られない。

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