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【なでしこ】アルガルベ杯5位。「使える選手」は見つかったのか? (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

 澤穂希や宮間あやら、主力がいないことの影響の大きさはさておき、現状メンバーでいかにスムーズな戦いができるか。ロンドン五輪のチームと比較することなく、「できるだけ、いろんなことを怖がらずにやってみる雰囲気をつくろうと心掛けていた」という岩清水たちが考えたのが、ボランチの宇津木瑠美をアンカー役としてだけではなく、攻撃の起点にも据えることで攻守に厚みをもたらすこと。

 これで相手DFラインの裏を突く、タテへの攻撃が増え、デンマーク戦では宇津木のロングパスが大儀見のゴールに結びついた。中堅選手が今までの経験をもとに最善の組みたてを模索したスタイルといえる。

 中国との5位決定戦では、佐々木監督自身、スタメンを組むにあたって計算できる選手を最小限にし、ここまでの3試合で力を出し切れていなかった選手、監督がもう一度試してみたい選手を起用。なおかつ、勝つことを要求した。

 対する中国は気合い十分。相手の寄せの速さや、ファウルすれすれの激しい当たりに、日本は苦しい展開となった。FWにボールが入らない状況に、大儀見もたまらず中盤までボールを受けに下がってくる。それでもまだなでしこのプレスにはムラがあり、攻守がかみ合わないまま前半を終えた。

 後半に入ると、佐々木監督は流れを変えようと選手を入れ替えた。田中明日菜をボランチに、田中陽子を左サイドMF、トップに田中美南を入れた。「我々が卓越した展開をしたのではなく、中国の足が止まったから」(佐々木監督)とはいえ、この交代で攻撃は活性化した。そして67分、中島依美が鋭い突破を見せ、ファウルを誘い絶好の位置でFKを得る。

 そのFKを任されたのは中島本人。すると大儀見が近寄り、中島に告げる。「DFの裏に蹴って」。大儀見が位置を取ったのは、飛び込むタイミングをはかろうとする味方と、それを阻止しようとする中国DF陣の群れの一番奥。中島が蹴りだした瞬間、大儀見は一瞬、群れの動きと逆行するかのように踏み出しをとどめ、一団の空中戦の一瞬後に一気に前線へ飛び出した。思惑どおり、ボールはピタリと大儀見の足もとにこぼれた。大儀見の読みと中島の正確なFKの賜物の決勝ゴールだった。

 試行錯誤を繰り返した今大会。若手の中で、なでしこジャパンの主力との差を縮めた選手のひとりは、ドイツ戦で日本唯一のゴールを決めた田中美南だ。

「最初はプレスをかけるのも、スタートするタイミングがわからなくて......でもポルトガルに来る前よりは少しずつ成長できていると感じています。まだまだ満足はしていませんが、バイタルエリアでパスを受ける動きは自分の強み。そこで勝負できたことに、なでしこ第一歩としては手応えをつかめました」

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