【なでしこ】2013年初勝利。
デンマーク戦で発揮された「日本らしさ」

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko photo by Hayakusa Noriko

デンマーク戦で2-0と、2013年初勝利を挙げたなでしこジャパン。先制点を決めたのは川澄奈穂美デンマーク戦で2-0と、2013年初勝利を挙げたなでしこジャパン。先制点を決めたのは川澄奈穂美 東日本大震災から2年となる3月11日、アルガルベカップ第3戦のキックオフ直前、スタジアムでは黙とうが捧げられた。岩清水梓の左腕に巻かれたキャプテンマークには"東北魂"の文字。

「絶対に勝って、良いニュースを届けたい」と、いつも以上に気合いの入った選手たちがピッチに出ていく。その気迫どおり、デンマークを相手にほぼ決定機を与えることなく、2-0で完封した新生なでしこジャパンは、初勝利を手にした。

 ようやく、"なでしこジャパン"らしい小気味いいリズムが生まれた。

 1-2で惜敗した先のドイツ戦では、最悪のピッチコンディションにも関わらず、初戦のノルウェー戦(2-0で負け)ではまったく機能しなかったプレスが息を吹き返し、世界ランク2位の相手を苦しめた。その感覚が残る中一日でのデンマーク戦。佐々木則夫監督はベストメンバーであるドイツ戦の布陣をベースに、GKに山根恵理奈、右サイドMFに中島依美を起用。

 これで当初の予定どおり、3試合で招集選手すべてをテストしたことになる。ドイツ戦のメンバーもベストとはいえ、ロンドン五輪をピークとすれば、戦力不足は否めないものの、このメンバーだからこそ生まれる形やタイミングもある。何とかそれを実感したいと思っていた選手たちにとって、ドイツ戦のベースをほぼ変えることなく臨めたこのデンマーク戦は、この遠征で初めてと言ってもいい手応えがあった。

 この日も、アルガルベ地方は試合前に約1時間大雨に襲われた。キックオフ前にはあがったが、水分をたっぷりと含んだピッチは、またしても日本からスピードを奪ってしまいそうだった。ところが、ぬかるんだ地面もなんのその。ボランチの田中明日菜のシュートを皮切りに、日本は立ち上がりから主導権を握る。

 先制点は17分。宇津木瑠美から左サイドの鮫島彩、川澄奈穂美とつなぐ。そして、川澄がゴール前へ送ったボールはそのままゴールへ吸い込まれていった。

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