【なでしこ】アルガルベ杯5位。「使える選手」は見つかったのか? (3ページ目)
また、右サイドバックとして文字どおり体当たりのプレイを見せた加戸由佳と右サイドMFの中島も佐々木監督から及第点が出た。鮫島&川澄奈穂美の主力左サイドの対として登場したこのふたりは、守備面でリスクは残るものの、経験者にフォローされながらうまく機能した若手コンビだ。
中島は中国戦の決勝点を生むきっかけになった突破から、アシストまでの一連の流れを生みだした。強みは両足の正確なキックだが、「宮間さんのように、正確なキックが蹴られる選手になりたい。この(程度の)精度じゃ世界に通用しません」と、目標はまだまだ高い。
U-20代表時代にはチームメイトだった加戸と中島。ここからの成長次第では、人員不足のサイドMFのポジション争いに名乗りを上げるかもしれない。
そして、中堅選手でもっとも安定したパフォーマンスを披露したのが大儀見だった。所属するドイツブンデスリーガのポツダムでは今シーズンから副キャプテンに指名され、キャプテンがケガで不在のときは、ゲームキャプテンを担うこともある。ドイツで過ごした3シーズンは今、大儀見に変化をもたらしている。一番は、かつては自分の意思を通そうとしていた大儀見が、今大会は周りを活かす動きに徹していたこと。
「今は自分を活かすという段階ではない。まずは周りを活かさないと、自分が活きないから」(大儀見)。ワールドカップ時には、ゴールへの距離が遠くなると難色を示していた前線からのプレスも、中盤まで下がって相手を追い込む姿が何度も見られた。そして、2ゴールをマーク。
「大儀見は自分の思っているプレイをコンスタントに出せていた」と、佐々木監督からの信頼も厚く、今大会では大儀見を攻撃の核に据えて若手の動きを促していた。
大会を通して「経験を積ませることが重要」と説いてきた佐々木監督。
「もちろん今の段階ですべての評価をするつもりはない。でも、今自分のプレイを見られているって怖いことで、代表に来てるのはチャンスでもあるけど、同時にチャンスを失うことでもある。そのことを感じてほしい」と、危機感の薄い若手に奮起を促すこともあった。
今回のアルガルベカップ、指揮官としてある程度の見極めができたことで、新戦力発掘と中堅の意識向上というテーマは、ギリギリのラインではあるがクリアしたといえる。佐々木監督が望む「次へのきっかけ」になったはずだ。しかし、指揮官には「他にも国内に試したい選手がいる」ようで、新戦力の発掘は今後もしばらく続きそうだ。
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