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【プロ野球】「ホームランしか考えていなかった」 内川聖一が振り返る日本シリーズ伝説の1打席 なぜ山﨑康晃の最高のボールを打てたのか (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Kotaro Tajiri

 そして、舞台は再び福岡へ。ソフトバンクが王手をかけて迎えた第6戦だった。

 先発は、ソフトバンクがこの年16勝を挙げて最多勝に輝いた東浜巨。対するDeNAは、プロ2年目で自身初の2ケタ勝利を挙げた今永昇太だった。

 試合は2回裏、松田宣浩が左中間のホームランテラス席へソロ本塁打を放ち、ソフトバンクが先制する。

 しかし、5回表にDeNAが反撃。白崎浩之のソロ本塁打で同点に追いつくと、さらに安打と犠打でチャンスを広げ、ホセ・ロペスの左前適時打などで2点を追加。この回一挙3点を奪い、逆転に成功した。

 今永は7回0/3を投げ2失点、11奪三振の快投。ソフトバンク打線を封じ込め、リリーフ陣に後を託した。

【狙いは山﨑康晃のツーシーム】

 2点を追うソフトバンクは8回裏、内野ゴロの間に1点を返し、2対3。1点差で9回の攻防を迎えた。

 9回表、ソフトバンクはビハインドの展開ながら、守護神のデニス・サファテを投入。無失点に抑え、最後の攻撃に望みをつないだ。

 一方、逃げ切りを図るDeNAも、9回裏のマウンドに守護神・山﨑康晃を送った。一塁の守備からベンチに戻った内川は、ミットを外し、バッティンググローブとレガースを装着。ヘルメットをかぶり、バットを手にネクストバッターズサークルへと向かった。

 ソフトバンクの攻撃は3番から始まる好打順。先頭のアルフレド・デスパイネが出塁すれば、つなぐ打撃に徹しようと考えていた。だが、デスパイネは遊ゴロに倒れる。一死走者なし。内川はゆっくりと右打席へ歩みを進めた。

「あの打席に限っては、意外と冷静だったんです。山﨑くんとの対戦はシリーズで3度目でしたし」

 それまでの対戦成績は2打数1安打。第4戦では遊ゴロに倒れたものの、第5戦では三遊間を抜く左前安打を放っていた。ただし、内川のなかに「打ち勝った」という感覚は残っていなかった。

「どちらも打ったのはツーシーム。ヒットの打球は、引っかけたゴロがたまたまそこに飛んだだけ。あのツーシームをそう打てば、当然こうなるよなという感じでした」

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