サッカー日本代表は何のために4バックにするのか 森保監督が主張する「可変」にも違和感
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連載第114回
杉山茂樹の「看過できない」
10月5日のニュージーランド戦は久しぶりに4バック(4-2-3-1)で臨んだ日本代表の森保一監督。最後に採用したのが昨年9月9日、アメリカ・オハイオ州コロンバスで行なわれたアメリカ戦の後半なので、ここまで1年あまり、ひたすら3バック(5バック)、主に3-4-2-1で戦ってきたことになる。ちなみに試合の冒頭から4バックを採用した試合となると、2024年3月21日の北朝鮮戦まで遡る。
ニュージーランド戦を4バックで戦った日本代表の森保一監督 photo by Masato Fujita 森保監督はニュージーランド戦後の会見で、アジアカップ(来年1~2月)に向けて4バックを使用していく可能性を、うっすらと示唆している。任期の最終盤を迎えて、大きく方針を転換しそうな雲行きである。
一方で、森保監督はその理由を明確にしない。引いて構えるアジアの格下チームをどう崩すか。話の文脈から伝わってくるのは、それぐらいだ。そもそもこの8年間強、3バックと4バックについて雄弁に語ったためしがない。言及を避けながら、守備的サッカーに傾倒してきた。
5バック同然の3バックと、4バック。それぞれが対照的な考え方に基づく布陣であることは言うまでもない。守備的な姿勢で臨むか、攻撃的な姿勢で臨むか。後ろで構えるか、前から行くか。世界の主流は「前から行く」だ。
前で守る。1980年代後半、アリゴ・サッキが提唱した前方向へのプレッシングこそが、サッカー競技の本質を突くあり方だとする考え方である。「ベースになったのは、(1970年代前半に提唱された)サッカーの概念を180度変えたトータルフットボールだ」とは、サッキ自身が筆者に語った言葉である。
欧州には「プレッシングとトータルフットボールは近代サッカー史における2大発明だ」とする識者が多くいる。サッカーを語る上で外せない事象であるが、日本では長い間、その追求が疎かになっていた。10年~20年ぐらい遅れていると筆者は見ているが、いまなお欧州との間には大きな隔たりがある。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2026年北中米大会で12回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

