【男子バレー】宮浦健人が追い求める「オポジットの雰囲気」 SVリーグでも主役のひとりに
10月24日、SVリーグのウルフドッグス名古屋は、東京グレートベアーズとの開幕戦に挑む。
チャンピオンシップでは2年連続でセミファイナル敗退、あと一歩のところで苦杯をなめている。新シーズンも優勝を狙う一角であることは間違いない。日本代表セッターである深津英臣、ビーチバレーと二刀流の水町泰杜、昨シーズンの最優秀ミドルブロッカー賞のポーランド代表ノルベルト・フベルなど多くの有力選手を擁している。
なかでも、オポジットの宮浦健人(27歳)はアジア選手権優勝のメンバーで、ロサンゼルス五輪での活躍も期待される。猛禽類が高所から高速で獲物を狙うように振り下ろされる左腕の軌道は無慈悲。普段は寡黙な男の雄叫びは心を揺さぶる―――。
アジア選手権でオポジットとしての自信を得たという宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)photo by Yukihito Taguchi 宮浦は、どんな時代に生まれていても「古きよき男を匂わせる」と愛されるだろう。それは、その時代を生きる人々が目の前のめまぐるしい変化に疲れたとき、変わらない気骨を見せる男の姿に「失ったもの」を感じるからかもしれない。時代の流れなどと関係なく生きる「愚直」「鍛錬」「剛毅」に、見る者は陶酔を覚えるのだ。
宮浦は常に己と対峙し、攻撃に特化したオポジットというポジションで色気さえ醸し出す。「パスをもってこい、決めてやる!」という雄々しさか。それぞれのオポジットで匂いは異なるが、彼も確実に匂いを放つ。
昨年10月に行なったインタビューで宮浦は言っていたことがあった。
「どんな状況であっても、"自分がやるんだ"っていう気持ちでやらないといけないと思っています。苦しい局面も自分が打開するんだって。オポジットはそういうポジションなんで。オポジットが醸し出す雰囲気、余裕というのがあって、競った場面でも"(パスを)持ってきてくれたら問題ないよ"って伝えられるように」
色気の源泉は、彼自身の人柄にあるのかもしれない。自らのトレーニングに対しては厳しい姿勢で臨むが、普段は柔和でおっとりし、飾り気がなく、人懐こいところもある。笑顔に嘘がなく、大きな子どものようで、一種ののどかさも漂う。一方で勝負に挑んだときは、山が動くような迫力で敵を戦慄させる。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

