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【WBC】宮本慎也が感じ、松中信彦が確信した福留孝介の変化 王ジャパンを決勝へと導いた値千金の代打アーチ (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 福留は拳を握りしめ、叫んだ。

 打球はライトスタンドへ突き刺さり、先制の2点を日本にもたらす値千金の代打2ランホームランとなった。ホームインする福留を、松中が頭を叩いて祝福する。絶叫する小笠原道大が、里崎智也が殊勲の福留と手を合わせ、ベテランの谷繁元信が、宮本が、そしてイチローが次々に福留と歓喜のハイタッチを交わした。

「ああいう場面に使ってもらえたことで、意気込んでいきました。自分にもチームにも勢いをつけたかったので、何とかしたかった。人生でこんなにうれしいホームランはなかったですね」

【一度は代表入りを辞退】

 準決勝は日本が6対0で韓国に勝った。そして日本は決勝へ進むことになった。

 思えば、その日から遡ること約1カ月前の2006年2月20日。松井秀喜の代役として30人目の日本代表に選ばれた福留は、WBCに向けた合宿に合流するため、福岡にやってきた。

 その夜、福留は狭いながらも居心地のいい店で焼酎を呑みながら、黒豚のしゃぶしゃぶを堪能していた。代表入りを断って、チームのキャンプでフォーム改造に専念する手もあったはずだ。しかし福留は日の丸を背負うことを選んだ。

「フォームを変えることはちっとも怖くないですよ。もっとよくなると信じて変えるわけですからね。少しでもムダな動きをなくせばそれだけブレも少なくなるし、確実にボールを捉えられるはずなんです。だから最初はWBCへの出場を断りました。

 キャンプでフォームをしっかり自分のものにしたかったし、代表にはイチローさんがいて、松井秀喜さんがいたら、僕は試合に出られませんからね。でも松井さんが辞退することになって、一度は断った僕に王監督はもう一度、声をかけて下さった。もちろん、うれしかったですよ。よし、やるぞって気になりましたね」

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