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【WBC】宮本慎也が感じ、松中信彦が確信した福留孝介の変化 王ジャパンを決勝へと導いた値千金の代打アーチ (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

【決勝へ導く値千金の代打2ラン】

 セカンドベースに立っていた松中もまた、福留の変化を感じていた。

「孝介はものすごく苦しんだと思います。あれだけ結果が出なくて、準決勝ではスタメンを外されて......それでも気持ちを切らずに、ずっと何とかしたろうと考えていたと思います。彼も成長をしてるんですよ。僕は孝介が日本生命にいた社会人時代、アトランタ五輪で一緒に戦いましたが、あの時の孝介はチームのためというより、プロに行きたい自分のためにプレーする選手でした。もし孝介があの時と同じ気持ちのままだったら、あの場面、絶対に打ててないでしょうね。きっとベンチでふて腐れて、『なんでオレを外すんだ』って感覚であの打席を迎えていたと思います(笑)。

 でも、あの日の孝介はベンチで声も出てましたし、前のめりでした。代打を言われてネクストバッターズサークルでバットを振る姿からも雰囲気を感じたんです。気持ちが切れていれば、わかります。ああ、もう切れてるなって......でも、そういう雰囲気は孝介の素振りからはまったく感じられませんでした」

 打席に立つ福留、一方の韓国ベンチは左腕の具台晟(ク・デソン)というカードを切らず、左には強くないサイドハンドの金炳賢を続投させる。

 初球、インサイドにボール。アウトコースを要求していたキャッチャーの構えとは逆だ。

 2球目、今度はキャッチャーの構えたアウトローに決まる。ベースの上は通っていないが、国際試合ではストライクになるアウトローのボールに、球審の右手が上がった。これでワンストライク、ワンボール。

 3球目、キャッチャーは再び外に構える。ところが金炳賢のストレートがやや内側に流れる。ほぼ真ん中低めに入ってきたボールを、福留のしなるバットが完璧に捉えた──打球が舞い上がる。

 その弾道は、飛び出しが低く、途中から風に乗ってグーンと伸びていった。日本で何度も見慣れた、福留ならではの弾道だ。

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