阪神・佐藤輝明は左打者不利の甲子園でなぜ40本塁打も打てたのか T−岡田が技術的視点で読み解く「覚醒の真相」 (4ページ目)
── 吉田正尚選手は、追い込まれると完全にスタイルを変えて、確率を上げるスイングに徹していました。
岡田 それがしっかりできれば強い。でも、簡単なことではありません。正尚は頭も使っていましたね。追い込まれると、真っすぐはファウルでいいと割りきってカットし、相手に変化球を投げさせるようと駆け引きするところもありました。ただそれができるのも、先ほど話した「手の早さ」があってこそです。途中で「真っすぐや、カットしよう」と判断して、実際にできる。これができるかどうかで、ほんと変わってくると思います。
── そう考えると、手が早い佐藤選手も、今後は長打の魅力をなくすことなく、三振数が減っていくイメージも湧いてきます。
岡田 三振も考え方ですけど、ここからまたどうなっていくかですね。
── 三振の話題にもつながりますが、今の日本球界は落ちる球全盛の時代です。そうした球種への対処法について、どのように考えていましたか。
岡田 まず、落ちる球は打つ球じゃないです。しっかり見極めて、見送れたらいいんですけど、それがなかなか......(笑)。ただ手の早さがあれば、対応の幅が広がる部分はあるでしょうね。僕は基本的に真っすぐに対応できるよう頭に置きながら、変化球が来たら泳ぎながらでも拾って対応しようというタイプでした。そこに配球も勉強して、ある程度は割りきっていこうという意識でやっていました。
── そう思うと、「三振OK」と言ってくれる監督のほうが、打者とすれば楽に打席に立てますよね。
岡田 そうですね。あとは追い込まれる前に勝負するということですね。
── 追い込まれるほど打者が不利になることは、データからも明らかです。
岡田 一軍で勝っている投手、勝ち試合で投げてくるリリーフ投手が相手だと、追い込まれてからではやはり厳しいですよね。追い込まれた場面でどう対応するかも大切ですが、その前に打てる球をいかに高い精度で捉えられるかが重要です。昨年の佐藤選手も、詳しく分析したわけではありませんが、いい結果が出ている打席は勝負が早かったのではないでしょうか。投手のレベルが上がっているだけに、打てる球を確実に打つ。今年も、そこが大事になってくると思います。
T−岡田(本名:岡田貴弘)/1988年2月9日、大阪府生まれ。履正社高から2005年の高校生ドラフト1巡目でオリックスから指名を受け入団。プロ5年目の10年、ノーステップ打法でブレイクし、33本塁打を放ち初のタイトルを獲得。翌年は開幕4番を任されるも16本塁打に終わる。21年は17本塁打を放つも、翌年はケガもあり1本塁打。23年はチームが3連覇を果たすなか、0本塁打に終わった。24年シーズン限りで現役を引退。現在はオリックスの球団アンバサダーの傍ら、解説者としても活躍中
著者プロフィール
谷上史朗 (たにがみ・しろう)
1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。
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