阪神・佐藤輝明は左打者不利の甲子園でなぜ40本塁打も打てたのか T−岡田が技術的視点で読み解く「覚醒の真相」 (3ページ目)
── 佐藤選手のホームラン映像を見ると、いろんな形で打っている印象があります。きれいに振り抜いて豪快に飛ばしている時もあれば、高めの球に対して払うようにバットを出してスタンドまで運んだり、それこそ大谷翔平選手の時に話した"シャンク"でレフトスタンドに持っていったり......。
岡田 バンテリンドームでも逆方向に打ち込んでいましたし、打球方向もライトのポール際からレフトのポール際まで本当に幅が広い。ホームランのバリエーションも豊富ですし、左投手のインハイをさばけている場面もありました。見ていると、やはり佐藤選手はポイントが近い。手が伸びきらない位置でボールを捉えて、打球を飛ばしている印象があります。
── いろいろな打ち方ができるのは、それだけで有利?
岡田 それがいいのは間違いありません。相手が投げてくるボールにどれだけ合わせられるかの勝負ですから、多くのスイングができるというのは大きな強みです。最近は、若い選手のなかにも自分勝手なスイングをする人が多いように感じますし、子どもたちを教えていても同じことを感じます。「僕はこの打ち方しかしません」というタイプですね。そうなると、どこに投げられてもスイングがワンパターンになり、打てないコースは何球振っても打てない、ということになってしまうんです。
── 「打てるコースを確実に打てるように」という言葉を誤解しているのでしょうか。
岡田 どうですかねぇ......。今は教科書が動画ですからね(笑)。どういう原因なのかはわかりませんが、たとえばトスバッティングと同じで、インハイに来たらバットをこう出して返す、アウトコースならヘッドを効かせてこう返すというように、いろいろなバットの出し方を覚えていかないと、打率も上がらないですし、ホームランも増えないのは確かだと思います。
【追い込まれるまでに勝負できるか】
── 佐藤選手は一発の魅力がある一方で、三振が多いことが以前から指摘されてきました。昨季も163三振はリーグ最多。三振については、長距離砲の宿命みたいなところもありますが、岡田さんがどう考えていましたか。
岡田 よく「事を起こせ」「事を起こさなあかん」と言われていましたね。バットに当てないと、何も起きないという意味です。そこが難しいところで、「凡打なら三振も同じ」「三振OK」と割りきる考え方もあります。一方で、「事を起こしてほしい」と首脳陣が思う理由も理解できます。ただ、事を起こそうと当てにいった結果、詰まってゲッツーになることもありますし、本当に難しいところですね。
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