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川﨑宗則と田内真翔の二遊間コンビがドバイで過ごす濃密な1カ月 野球不毛の地で咲いた新たな師弟関係 (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

 堤監督は大学卒業後、JICA(国際協力機構)の海外協力隊員としてアフリカ・ジンバブエで野球普及活動に従事し、東京五輪の予選では同国代表監督も務めた人物だ。田内はその薫陶を強く受け、プロ入り後も母校が続けている「野球道具を途上国へ送る活動」に個人として参加している。

 高校時代に育まれたその国際感覚が、「野球不毛の地」への興味をいっそう掻き立てたのだろう。

【レジェンドとの二遊間コンビ】

 自ら志願してファルコンズに加入した田内だったが、そこにはレジェンドがいた。このチームには、DeNAから派遣された選手のほか、テレビ番組企画のトライアウト合格者や、各自のルートで参加した選手が集まっている。そして、すでに第一線を退いたNPBのスター選手まで名を連ねているのだ。

 川﨑やNPB通算1928安打を誇る中島宏之(元西武ほか)といったレジェンドを前に、当初の田内は「借りてきた猫」状態だったという。しかし、気さくに接してくれるレジェンドたちのおかげで緊張も次第にほぐれ、数日間の練習を経て開幕を迎えるころには、すっかり打ち解けていた。

 とくに、川﨑とはキャッチボールのパートナーを務めるなど、練習中も行動をともにすることが多く、田内はプロとして生き抜くためのノウハウを吸収していった。

 田内は、川﨑とともに内野の要である二遊間を組んでいる。往年の名ショートである川﨑がセカンドに回り、田内がショートを守る布陣だ。

 砂漠に人工芝を敷いただけでアンツーカー(人工の土)部分もないフィールドだが、田内は「グラウンドは悪くないですよ。土がない分、イレギュラーもしないので、かえって守りやすいです」と気にする様子はまったくない。

 内野ノックでは見事なゲッツーを完成させたが、NPBを離れて久しい川﨑のグラブさばきには思わず舌を巻く。長年にわたって培われた技術は、トレーニングを続けている限り簡単には錆びつかない。その事実を、田内はいま身をもって感じている。

 そんな"本物の技術"を自分のものにしようと、田内は川﨑の一挙手一投足に熱いまなざしを注いでいる。

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