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【プロ野球】シーズンを圧勝した阪神は日本シリーズに進めるのか? 伊勢孝夫が指摘するCSでの不安要素

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

 藤川球児新監督のもと、阪神は圧勝といっていい内容でシーズンを制した。当然、ファンの期待は「日本一」だろうが、その前にクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでDeNAに勝利しなくてはならない。では、阪神はどのようにCSファイナルステージに臨めばいいのか? もし不安要素があるとすれば? そしてカギを握る選手は誰なのか? 野球評論家の伊勢孝夫氏に語ってもらった。

圧倒的な強さでペナントレースを制した阪神・藤川球児監督 photo by Sankei Visual圧倒的な強さでペナントレースを制した阪神・藤川球児監督 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【クローザー岩崎優の不安】

 言うまでもないが、リーグ優勝チームにはCSファイナルステージで1勝のアドバンテージが与えられている。つまり、3勝3敗でも日本シリーズ進出が決まるわけだ。対する相手チームは4勝しなければならず、その分の重圧とも戦うことになる。それだけに、この「1勝」の差は数字以上に大きい。もし阪神が初戦に勝利して2勝0敗とすれば、ファイナルステージの流れは一気に阪神へ傾くだろう。

 まして、阪神の投手陣は質・量ともに充実している。先発の才木浩人や村上頌樹は安定感があり、首脳陣としてもゲームプランは立てやすい。

 問題は3戦目の先発を誰にするのかだ。私は大竹耕太郎を予想しているが、はたして安心して送り出せる状態にあるのかどうか。今季は9勝4敗と数字だけ見れば悪くないが、一昨年や昨年のような安定したピッチングではなかった。そう考えると、同じ左腕の伊藤将司の可能性もあるだろう。

 リリーフ陣も揃っているが、抑えが気になる。岩崎優は岡田彰布監督時代に優勝したシーズンと比べれば、衰えを感じる。その証が、高めに伸びのあるボールが少なくなったことだ。それでも31セーブを稼げたのは、藤川監督の気遣いがあったからだと思う。シーズン中、「この展開ならほかの投手でもいいのに」という場面でも、岩崎に託すシーンを何度か見た。

 今季の阪神はオールスター以降独走し、危なげなく優勝を決めた。言い換えれば、本当の意味で痺れるような展開はなかったというわけだ。

 では短期決戦でも、シーズンどおりに抑えを岩崎でいくのかどうか。そこは大きなポイントになると見ている。

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著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

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