【プロ野球】シーズンを圧勝した阪神は日本シリーズに進めるのか? 伊勢孝夫が指摘するCSでの不安要素 (2ページ目)
【阪神打線の中軸は機能するのか】
ただ個人的には、打者のほうが不安は大きい。その最大の理由は、よく指摘されることだが、リーグ優勝からCSファイナルステージ初戦までのブランクの長さだ。今年の阪神は史上最速となる9月7日に優勝を決めた。そこから試合自体はあったわけだが、それでもシーズン最終戦(10月2日)から2週間ほど空くことになる。
このブランクというものは、選手たちの調子と緊張感、集中力に影響を与える。特に打者は、試合が空くだけで打撃感が狂ってしまうことが往々にしてある。そのため近年、宮崎で開催されているフェニックスリーグに選手を派遣して、試合勘を鈍らせないように工夫している球団もあるようだが、それが最適解なのかいささか疑問が残る。
CSや日本シリーズで登板する投手というのは、フェニックスで投げている若手よりもコントロール、ボールのキレ、変化球の精度など格別である。いくらフェニックスで実戦経験を積んだとしても、それほど意味があるとは思えない。
当初、藤川監督もフェニックスリーグに主力を派遣させるつもりだったみたいだが、天候不良の見込みなどもあって取りやめたという。そうしたなかで実戦経験を積むには、紅白戦がいいと思うのだが、現時点ではシート打撃をやったという情報しか入っていない。シート打撃も立派な実戦練習だと思うが、どこまで緊張感を持ってできたかどうか。そこについては多少の不安が残る。
特に阪神打線の中心を担う森下翔太、佐藤輝明がどのような状態でCSに臨めるのか。新聞報道を見る限り悪くなさそうだが、一本出るまでは不安だろう。
打者というものは、好調を長く維持するのが難しい。ましてや、2週間も実戦から離れれば、どうしても打撃の感覚は鈍ってくる。シーズン終盤に不調だった選手が、ファイナルステージで調子を取り戻すことはあるかもしれない。しかしその一方で、好調を維持していた選手が2週間のブランクを経ても同じ状態で臨めるかといえば、それは容易ではない。
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