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【プロ野球】ヤクルト・西舘昂汰&塩見泰隆の奮闘の夏 リハビリから復帰後に戸田で流した汗と笑顔に秘められた思い (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

「これまではひとりで黙々とやることが多かったんですが、こうして外に出て、いろんな選手やコーチ、スタッフと関わりながら話をすることで、僕自身のモチベーションにもつながっています。人と接しながら野球、というかトレーニングをしていると、『やっぱりチームっていいなあ』と思いますね」

 復帰のプランについては、「10月、11月には......」と、次のように話した。

「まずは復帰とかではなく、バッティングはほぼ100パーセントできます、ダッシュもノックもほぼ100パーセントこなせます、試合での出力はまだちょっと落ちるけど、出られますよ、くらいのイメージです」

 実戦という意味では、10月にはフェニックスリーグが宮崎で開催される。

「そこが一番の目標ですね。チームに迷惑がかからない程度に試合に出させていただけるなら、出たいなという思いがあります。今年中に実戦ができれば、ケガ明けの自分への自信にもなりますし、オフの3カ月にフェニックスで感じたことをトレーニングに生かせるので、かなり大きいんじゃないかと。出られないとしても、リハビリの方法はたくさんあるので、いずれにせよ来年に向けてやっていくという感じです」

 塩見の真っ白だった肌は、今ではいい色に日焼けしている。連日の強烈な暑さについて尋ねると、「暑いです。暑いでしょ」と笑った。塩見は若手時代の多くを、この戸田で過ごしてきた。

「ひと夏を越して、『ああ、ちょっと慣れたな』と思うじゃないですか。でも新しい夏が来ると、『ええ、去年より暑いじゃないか』って。だから、なかなか慣れないですね。そして冬は寒い。まあ、それが戸田ですから(笑)」

 戸田の空は高く広がり、どこまでも青い。リハビリ期間を終えた、山野太一(26歳)、山本大貴(30歳)、田口麗斗(30歳)、石山泰稚(37歳)は二軍で実戦を重ね、高橋奎二(28歳)は、ブルペンで捕手を座らせてのピッチングで順調な回復をアピール。5年目の並木秀尊(26歳)はチーム練習に合流し、塩見は今日も地道なリハビリメニューで汗を流している。

著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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