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【プロ野球】ヤクルト・西舘昂汰&塩見泰隆の奮闘の夏 リハビリから復帰後に戸田で流した汗と笑顔に秘められた思い (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 チームメイトからは「ダテさん」と親しみを込めて呼ばれ、今はひとりで練習する時間はなくなった。

「全体練習に入れるのがもう楽しくて(笑)。フィールディング練習とか、野球をしているという感覚に近づくので、今は野球の楽しさというのを実感しています」

 西舘がいま一番大切にしているのは、「焦らないこと」だ。

「調子がいいからといって無理に上げて、投げられなくなるのが一番よくないと思っています。一定の調子を保ちながら、目の前のやれることを継続していけば、実戦復帰も見えてくるはずだという気持ちで取り組んでいます。自分はまだ一軍の雰囲気を味わえていないので、来年のキャンプは沖縄に行けるように、今年の成果を来年につなげたいと思っています」
    
復帰に向けて戸田で汗を流す塩見泰隆 photo by Sankei Visual復帰に向けて戸田で汗を流す塩見泰隆 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【くよくよしても仕方ない】

 塩見泰隆(32歳)は昨年5月、プレー中に左膝前十字靭帯と半月板を損傷する大ケガを負った。手術と長いリハビリ期間を乗り越えて、今年3月のオープン戦で復帰を果たすも、再び左膝前十字靭帯を損傷。

 2021、22年のリーグ戦連覇に大きく貢献したリードオフマンが、戸田球場に久しぶりに姿を見せたのは、7月9日のことだった。肌の色について本人は「だいぶ白い(笑)」と苦笑い。その表情は「苦しいことが多いけど、楽しい」と語るように、思うように野球ができなかった日々を物語っていた。

「オープン戦で一軍に上がる時、二軍の池山監督や城石(憲之)コーチらに『お世話になりました。次にお会いするのはシーズン終了後だと思いますので、ありがとうございました』と挨拶したんです。でも、すぐに戸田に戻ってきてしまって(笑)。ただ、今はこうして笑い話にできるくらい順調に回復しています。くよくよしても仕方ないですし、前向きにやる。これに尽きますね」

 塩見が復帰を目指して取り組むトレーニング風景を見れば、来年への期待は高まる。練習中は張り詰めた緊張感を漂わせ、隙のない姿を見せる一方で、持ち前の天真爛漫さで周囲に笑顔をもたらしている。

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