清水直行は「勝っているロッテが見たい」バッテリーが抱える問題、苦境のなかで見える光明についても語った (3ページ目)
【苦しい状況で経験を積む若手たちに期待】
―― 一方、ロッテが足で相手バッテリーにプレッシャーをかけていく場面は少ないです。
清水 昨秋のトレーニングや今春のキャンプで、チームとして走塁練習に注力するようなシーンはあまり見られませんでした。対照的に、日本ハムはベースランニングなども徹底して練習していた印象です。走塁もそうなのですが、ここ数年のロッテは「チームとして、これをやっていくぞ」というものが、ちょっと"薄い"ような感じがします。
例えばサッカーであれば、監督によって4-2-3-1や3-4-2-1などフォーメーションがありますよね。攻撃型なのか守備型なのか、バランスを重視する型なのか、自分のやりたいサッカーのカラーを打ち出すじゃないですか。新庄剛志監督が日本ハムの監督に就任した時も、「選手全員を一軍の舞台に立たせる」など、いくつかの方向性を明言していました。賛否両論はありましたが、選手もファンもわかりやすいですよね。
――現在のチーム状態において、ポジティブな要素を挙げるとすれば?
清水 打つほうでは寺地、山本大斗、池田来翔、投げるほうでは田中晴也、中森俊介、木村優人ら、「今のうちに、レギュラーを獲ってしまえ」と思えるような若い選手たちが一軍の試合を多く経験できているのは、すごくポジティブなことです。中継ぎだった横山陸人に先発を経験させたりもしていましたが、選手の活躍する領域を広げるうえでいい取り組みだと思います。
――ドラフト1位ルーキーの西川史礁選手はシーズンに入って苦しんでいます。
清水 現状見る限り、しばらくの間は苦労するんじゃないかなと。西川は仕掛けが早いバッター。相手もそれをわかっているので、ストライクとボールの見極めが難しい、くさいコースから入る配球をしています。西川もそれを見極めようとしていると思いますけど、一軍レベルのピッチャーは絶妙なコースにポンとくる。そこに飛びつくようなバッティングになってしまっているので、自分の形でバットを振れていません。
現在(6月4日時点)の打率が.145で本塁打が0。フォアボールは1個で出塁率は.165。この数字を受け入れて、課題を一つひとつ克服していかなければいけません。ただ、彼はどんなボールに対しても強く振れますし、自分のバッティングスタイルを持っていると思うんです。それを貫けるかどうかもポイントになるはずです。
コーチ陣も「1年目は自由にやらせてみよう」と考えていると思いますし、自分の課題にどう向き合っていくか。本人が「何かを変えなければいけない」と思い始めているのであれば、それはそれで前進じゃないですか。1、2年目がダメでも3、4年目くらいから覚醒する選手は多い。今は苦しいと思いますが、何とか乗り越えてほしいですね。
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