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西武変貌の要因と優勝の可能性を伊原春樹が語る 「快進撃の理由」を徹底解説 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 山田投手が出てきたのは大きいですね。

伊原 近江高(滋賀)時代に甲子園で活躍し、今年でプロ3年目です。最速152キロのストレートと大きく曲がるカーブ、台湾のウインターリーグでマスターしたというシュートを駆使し、一軍デビューから12試合連続無失点。5月17日にプロ初勝利を挙げました。

【優勝の可能性は?】

── 西武の新指揮官となった西口文也監督は、伊原さんが監督として優勝した2002年に15勝を挙げたエースでした。西口監督はどのような人物ですか?

伊原 現役時代は、華奢な体で淡々と自分の仕事に徹してくれました。ふだんは物静かですが、内に秘める闘志というか、気持ちの強い男です。そうでなければ、大卒からプロに入って通算182勝もできるはずがありません。

── さっき名前が上がった滝澤選手、菅井投手は育成上がりで、開幕スタメンを果たした外野手の長谷川信哉選手も育成出身です。

伊原 西口監督は、昨年まで3年間ファームの監督を務めていました。ファーム監督時代に一緒にやっていた選手をうまく使っていますが、彼らの特徴をしっかり把握していますよね。

── 西武といえば、広岡達朗さん、森祇晶さん、伊原さん、伊東勤さん、渡辺久信さんと「監督就任1年目に優勝」の系譜があります。

伊原 昨年最下位のチームが、いきなり優勝するのは容易ではありません。打線が好調とはいえ、得点はリーグ5位と決して多いとは言えません。投手を中心とした守りの野球に重きを置いていますが、そのなかで西口監督は機動力を絡めて、いかに1点をもぎ取るかをテーマにやっていると思います。

── 昨年はソフトバンクの小久保裕紀監督、巨人の阿部慎之助監督が就任1年目でリーグ優勝を果たしました。

伊原 西武は投手陣が充実しているので優勝の可能性はありますが、昨年のソフトバンク、巨人は、なんだかんだ言って選手層が厚かったですからね。それに比べると、西武はそこまで選手層が厚いとは言えません。特に打線のなかで誰かが故障した時にどうするか。レアンドロ・セデーニョあたりが爆発してくれて、打線の好調さを持続できるかがカギになるでしょう。まだシーズン序盤ですが、もし優勝となったら、昨年のソフトバンク、巨人以上の価値があると言えますね。


伊原春樹(いはら・はるき)/1949年1月18日、広島県生まれ。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年にドラフト2位で西鉄に入団。76年巨人に移籍し、78年ライオンズに復帰。80年限りで現役引退。81年から99年まで西武で守備走塁コーチなどを務め、黄金期のチームを支えた。2000年に阪神コーチ、01年に西武コーチを経て、02年西武監督就任、1年目でリーグ優勝を果たす。04年にオリックス監督、07年から10年まで巨人ヘッドコーチを務め、 14年に西武の監督に2度目の就任を果たした。現在は解説者として活躍中

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