ヤクルト5年目・「適当な人間」赤羽由紘が主力の穴を埋める活躍 ユーティリティが挑む一流への道 (3ページ目)
そして、こう続けた。
「これまであまり考えることなく野球をしてきたのですが、試合にずっと出ることで考えることが多くなってきました。今は打てないと、もちろん落ち込みますし、『なんでだろう』と思うんですけど、基本はポジティブ人間ですから(笑)。試合はずっと続くので、自分で考えてヒントを見つけながら戦わないといけないですし、最近は困った時にはコーチの方や先輩方に聞くようにしています」
村上からはいろいろな助言をもらったという。
「オープン戦でホームランを打った時は『ナイスホームラン、でも謙虚にいけよ』というLINEがきて、試合でよくなかった時は『今日は今日で、明日からまた頑張れよ』というメッセージをもらいました。いい時も悪い時も、切り替えが大事なんだと。考えることは考えて、忘れることは忘れる。自分はフルにシーズンを戦った経験がないので、そうしていかないと自分がもたなくなってしまう」
【喜びや悔しさの質がこれまでと違う】
前述のDeNA戦のあと、赤羽はジムに直行した。
「すぐ筋トレをしに行きました。もちろん悔しかったのはあります。開幕してから経験したことのない疲れがきていて、週に一回くらいしかできなかったんですけど、こういう時こそ、やれることをやらないといけない。そういう気持ちでした」
今はこれまでにない充実感を味わっているという。
「これまでも一軍に昇格してヒットを打てた時はうれしかったですし、打てなかった時は『ああ、またやっちゃったな』と思うこともありました。でも、今はその喜びや悔しさの質が、これまでとは全然違うんです。今年ずっと一軍にいられたら、きっと悔しい気持ちのほうが多くなると思いますが、それに負けないようにしたいです。そうしないと一流選手にはなれないので、まずはそういうところからしっかり取り組んでいこうと思っています」
この先、目指すところは「ユーティリティとして自分の価値を高めていきたい」と、赤羽は話す。
「僕がいることで、チームが流動的になるというか、打撃だけじゃなく、代走の選手が出ても僕が守備で入るとか。そう感じてもらえることがユーティリティ選手の役割だと思うので、チームに必要とされる選手になるために、1年を通して波はあると思いますが、とにかくケガなく戦いたいと思います」
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