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ヤクルト5年目・「適当な人間」赤羽由紘が主力の穴を埋める活躍 ユーティリティが挑む一流への道 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 二軍の宮出隆自打撃コーチは、「赤羽もそうですけど、若い選手が一軍にいると気になりますし、テレビを見て応援しちゃいますね」と笑顔を見せた。

 赤羽の成長について、宮出コーチはこう話す。

「去年ですかね。『一軍に上がるまで、毎日練習をお願いします』と言ってきたことがあって、気持ちの部分で変わってきたなと。今年はあっさり終わる打席が減りましたよね。大げさに言えば、以前は10打席あったら半分ぐらいはそんな感じでした(笑)。追い込まれると、とんでもないボールに手を出して三振とか。

 今は一軍で、簡単にはアウトにならないという執念を出して、心と体が連動していると思う打席が増えています。そこが彼の成長と見ています。レギュラーになったら、ここからが本当の正念場です。今は欠員が出たなかにすっぽりハマっていますけど、レギュラー選手が復帰しても『戻るところはありませんよ』くらいの気持ちを持ってやってほしいですね」

【スタメン出場で得た新たな経験】

 赤羽はここまでの結果について、「開幕スタメンで試合に出られましたし、すごく調子がいいわけではなかったのですが、ヒットをなんとか1日1本出しながらやっていましたけど」と語った。

 話を聞いたのは4月13日のことで、前日のDeNA戦では4打数無安打、3三振に終わっていた。開幕から7試合連続ヒットのあとは、思うような結果を出せずにいた。

「自分の思うようなスイングで捉えたと思ってもファウルになったり......ボールが前に飛ばない。コンタクト率もちょっと下がっています。もちろん原因はあるのですが、オープン戦などで『こういう感じでも当たるんだ』という発見は増えたので、自分の引き出しとして持っておけばいいかなと」

 これまでのスタメン連続出場は、昨シーズンの3試合が最多だった。今年はそれを大きく更新した。

「開幕してまだ10試合ちょっとですけど、自分には未知の世界なので、疲労だったり、自分が感じないところで体のズレは起こるんだなと。ずっとうまくはいかないと思っていましたけど、今まではそういうことを感じることができなかったので、この経験は自分の成長材料になってくると思っています」

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