韓国プロ野球の有望株はなぜ通訳なしで単身ジャパンウインターリーグに参加したのか? (4ページ目)
── その目的はここで果たすことができましたか?
「はい」
日本語で答えた朴に「100%?」と英語で聞くと、「90%」と返ってきた。残りの10%は何が足りなかったのか。再び翻訳アプリで質問する。
「私の変化球をもっとテストしてみたい」
アプリでそう示した朴は、日本語で「変化球、ツーシーム、スライダー、カーブボール、チェンジアップ」と答えた。たしかに試合中、速球に織り交ぜるスライダーやツーシームのキレは、さすがKBOで豊富な実績を誇るだけあると思わされる球質だった。
片言の英語と日本語、そして翻訳アプリで、会話は一応成立した。朴は日本食ではカツ丼が好きで、米津玄師の『Lemon』や松田聖子の『青い珊瑚礁』(翻訳アプリでは「ブルーサンゴ礁」と示された)をよく聴いているという。
KBOの鉄腕は爽やかな笑顔のナイスガイで、沖縄も気に入った様子だった。
「みんな若い選手たちだし、とてもよくしてくれて、もう一度来たい気持ちがある」
翻訳アプリを通じて伝えてきた朴に、最後に今後のキャリアで目指す目標を尋ねた。
「私は自分の足りないことを練習して、研究して、KBOリーグだけでなく、もっと高いところに上がりたい」
── NPB? MLB?
「I like NPB」
おお! いずれ日本でプレーしてみたいとのことだ。2025年2月には「2025球春みやざきベースボールゲームズ」で西武、ソフトバンク、オリックス、ロッテと斗山の試合が組まれているので、球団関係者や野球ファンには朴治国の豪腕をぜひチェックしてほしい。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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