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韓国プロ野球の有望株はなぜ通訳なしで単身ジャパンウインターリーグに参加したのか? (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

── 私はあなたにすごく興味を持っています。

 朴が使っている翻訳アプリを出してもらい、日本語で吹き込む。

「カムサハムニダ」

「ありがとう」と「こんにちは」は、筆者の知っている数少ない韓国語だ。続けて、日本に来てプレーしようと思った理由を、アプリを通して尋ねた。

「Next season, release point(来年、リリースポイント)」

 朴は英語で答える。リリースポイントを変えたいということだろうか。英語で質問すると、「Yeah(うん)」と答えた。

 続けて英語でやりとりしようと試みたが、うまく伝わらず、再びアプリを通じて日本語で質問した。

── リリースポイントを変えたいと言っていましたけど、今シーズン、KBOではどういうリリースポイントで投げていたんですか?

 朴がアプリにハングルで打ち込むと、日本語に翻訳された。

「スリークオーター、サイドアームを行ったり来たりしました」

 おお! 日韓の言葉をこれくらいの精度で訳してくれるなら、十分に取材ができそうだ。沖縄で朴は右サイドから投げているが、来季も同じように投げていきたいと言う。

 朴の2024年のスタッツを見ると、52試合に登板して2勝3敗1セーブ、3ホールド、防御率6.38。前年は62試合で5勝3敗2セーブ、11ホールド、防御率3.59だったが、大きく悪化している。その理由は「アームアングル(腕の高さ)」が固まらなかったからだろうか。

 以上を英語で尋ねると、朴は「Yeah」と答えた。沖縄のウインターリーグにやって来たのは、明確な目的があったわけだ。

【野球は共通言語】

 それにしても、日本語を話すわけではないのに通訳なしで単身来日するとはすごい。たとえば、朴と同じくらいの実績がある日本人投手が、ひとりで外国に行ってプレーするのはなかなか考えにくいことだ。

 でも、不安はなかったのだろうか。

「Oh、大丈夫、大丈夫」

 朴は日本語で答えると、翻訳アプリにハングルで打ち込んだ。

「大丈夫。野球選手たちは、野球で通じるから」

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