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韓国プロ野球の有望株はなぜ通訳なしで単身ジャパンウインターリーグに参加したのか? (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 たしかに、野球は各国の選手たちにとって"共通言語"だ。普段の会話は片言の日本語と英語で行なっているというが、どうやって日本語を学んだのか。アプリを通じて尋ねた。

「Japan came, my team(日本に来た、私のチーム)」

 なるほど! そう言えば、朴の所属する斗山は春季キャンプで宮崎や沖縄に来ている。朴がスマホのアプリに何やら打ち込んだ。

「単語をここに書いて発音を勉強しました」

 見せてくれたスマホの画面には、日本語の発音の仕方がたくさん書かれている。朴はそのなかから、特に好きだという日本語を口にした。

「数字も学んでいます。1、2、3、4......」
「タクシーお願いします」
「おはよう」
「お疲れ様です」
「1つお願いします」

 日本語はキャンプで宮崎や沖縄に来た際、英語は「Duolingo」というアプリで学んでいるという。通訳なしで単身来日するような選手は、陰でコツコツと努力しているわけだ。

【将来は日本でプレーしたい】

 だが、野球のレベルについては物足りなくなかったか。JWLはNPBでたとえると三軍程度で、守備のイージーミスも散見された。

「レベル?」

 翻訳アプリを介して質問したが、細かいニュアンスが伝わっていない様子だ。そこで「レベル、実力」と日本語で言うと、朴は日本語をつぶやいた。

「うん。沖縄県、リーグ、ああ」

 今度は英語で伝えてみる。

── Okinawa league is not as good as KBO.(沖縄のリーグはKBOほどレベルが高くない)

 朴は「Yeah」と頷く。今度は翻訳アプリで「このリーグに満足できましたか?」と質問した。朴はハングルで打ち込み、日本語に訳す。

「私はそれをテストしに来たのではない。自分の投球をしに来た」

── You are very smart!(君は賢いね!)

 朴は笑顔を見せると、再びアプリにハングルで打ち込み、「来季に備えるために参加した」と翻訳された日本語を示した。

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