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山本昌が大混戦のセ・リーグ前半戦を総括! 6球団の後半戦躍進のキーマンは? (3ページ目)

【巨人は丸の好調維持、坂本の打棒復活がポイント】

 巨人は首位争いをしていますが、正直、いまの状況がいいのか悪いのか、いちばんわかりづらいチームなんですよ。小さい連勝があれば、小さな連敗もあり、状態が上向いてきたと思ったら負けが先行したりと、なかなか判断が難しいんです(笑)。

 選手で言うと、坂本勇人選手がファーム調整で一時1軍から外れるなど不安材料はありましたが、絶好調の丸選手がチームを引っ張っていますね。巨人は比較的、経験豊富なベテラン選手に比重をおいたチームですので、丸選手に加えて坂本選手が状態を上げてくると、すごくどっしりとした戦いができるのではないかと思います。

 ピッチャーだと戸郷翔征投手、山崎伊織投手、菅野智之投手と計算できる先発がいますし、リリーフも大勢投手と中川皓太投手が1軍に戻り、盤石な投手陣になってきたなという印象です。

 大勢投手はケガが多いので、正直、しっかり治した方がいい気もするんですけど、やはりあれだけの球威を持つピッチャーはなかなかいないので、たとえ万全でなくてもブルペンにいてくれるだけで助かりますね。中川投手にしても、調子さえ上がってくれば打つのは難しいピッチャーです。今季の巨人は終盤までもつれた試合を落とすケースも見られるので、このふたりが戦列に戻ってきてくれたことは非常に大きいなと思います。

 このように、先発・中継ぎ陣は数年前に比べるとかなりよくなってきて、柱もできつつあるところまできていますから、あとは阪神同様に打線の復調のみ。トップバッターの丸選手がこのまま好調をキープし、4番の岡本選手が調子を上げ、その前後に坂本選手を置いて定着できれば、打線のつながりも出てきてチーム状態も上がってくると思いますよ。

【中日は石川昂弥の覚醒で上昇気流に乗れるか】

 最後に中日ですが、今季は序盤に8年ぶりに首位に立ったり、連勝もありましたが、前半戦終了を前にして、借金を抱えながら5位まで下がってしまいました。この現状を見て感じるのは、やはり中田翔選手の活躍次第で、チーム成績は全然違ったんじゃないかということです。

 シーズン当初はガンガン打って打点を稼ぎ、ランナーがいなければしっかりとチャンスメイクをする。それで勝利につながっているゲームがたくさんありました。いまはケガでファームに落ちて調整しているんですけど、中田選手は毎年ケガと戦っているので、まずは体を万全にして早く1軍に帰ってきてもらいたい。それぐらいいまの中日にとって彼の存在は大きく、必要不可欠だと思いますから。

 その間、チーム上昇のキーマンとして石川昂弥選手の名前を挙げさせてください。今季は1軍と2軍を行ったり来たりしていましたが、ここにきてようやく定着し、ヒットも出るようになってきました。

 彼については各球団の関係者の人たちから話を聞くんですけど、「フリーバッティングでものすごい打球を飛ばす」とか、「構えている時の雰囲気を見ると怖い」とか。すばらしいバッターとしての素質を感じさせるような感想ばかりなんです。

 同期にはロッテの佐々木朗希投手やヤクルトの奥川恭伸という本当にすごいピッチャーがいる中で、2019年のドラフト会議で中日は石川選手を選択し、3球団競合の末に引き当てました。将来の主軸を担う存在であることを確信していますし、そろそろ覚醒の域に入ってくれるんじゃないかと思っているなかで、いま、状態がだんだん上がってきている。このまま定位置を確保してくれることを期待したいですね。

 細川成也選手やオルランド・カリステ選手、福永裕基選手も調子がいいので、そこに石川選手も加わりつながりある打線が組めれば、他の11球団と比べても全然引けを取らない打撃陣になると、僕は思っています。ピッチャーだけで言えば12球団でトップクラスの布陣ですから、打線がいい感じで回れば連勝し、上位に顔を出せる可能性も十二分にある。僕としては古巣なので、なんとか頑張ってもらいたいですね。

【Profile】

山本昌(やまもと・まさ)1965年生まれ。神奈川県出身。日大藤沢高から1983年ドラフト5位で中日に入団。5年目のシーズン終盤に5勝を挙げブレイク。90年には自身初の2ケタ勝利となる10勝をマーク。その後も中日のエースとして活躍し、最多勝3回(93年、94年、97年)、沢村賞1回(94年)など数々のタイトルを獲得。2006年には41歳1カ月でのノーヒット・ノーランを達成し、14年には49歳0カ月の勝利など、次々と最年長記録を打ち立てた。50歳の15年に現役を引退。現在は野球解説者として活躍中。

佐藤主祥構成 text by Sato Kazuyoshi

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