山本昌が大混戦のセ・リーグ前半戦を総括! 6球団の後半戦躍進のキーマンは? (2ページ目)
【DeNAとヤクルトは主力打者の復調が今後を左右する】
DeNAは、やはり強力な打線がポイント。これに関してはリーグ随一ですし、12球団を見回してもトップクラスの強さだなと感じます。なかでも主軸の牧秀悟選手や宮崎敏郎選手、タイラー・オースティン選手は安定感がありますし、年間で打率3割打てる実力もある。彼らのような長打力と確実性を併せ持つ選手が並ぶ打線は、本当に怖いと思いますよ。
強いて言えば、佐野恵太選手がもう少し状態を上げてくれれば、さらに打線に厚みが出てくる。もちろんいい場面で打ってはいるんですけど、もともと3割打てる力があるので期待も大きいですし、彼が持つ技術どおりのバッティングができれば、必ず成績は上がっていくはず。なので、3割目指してもうひと頑張りしてほしいですし、より恐怖心のある新たな「マシンガン打線」を見たいですね。
ピッチャーに関しては、東克樹投手という柱はいるのですが、もうひとり、ふたり信頼感のある選手が出てくるといいなと。それでも貯金がある状態で戦っているわけですから、三浦大輔監督がしっかりやりくりして、投手陣を導いているなという感じはしますね。
一方で、最下位に沈むヤクルトは、ケガ人が続出していることがこの順位に表われているように思います。とくに塩見泰隆選手の離脱は痛い......。ヤクルトには村上宗隆などすばらしい選手がたくさんいますが、僕としては、塩見選手がいてこそのチームだなと感じるんです。トップバッターとしてパンチ力があり、技術もあって、さらに走れて守備もうまい。この選手がいるといないでは大きく違います。
左前十字靱帯(じんたい)と半月板の損傷ということで、復帰にも時間がかかると思うのですが、焦らずしっかりと治してほしいですね。
こうしたチーム状況を考えて、塩見選手の離脱をカバーできるのは、やはり山田哲人選手ではないかと思います。トリプルスリーを3度達成しているポテンシャルの高さは言わずもがな。その頃のパフォーマンスを、まだまだ出せる年齢だと思いますし、上位打線に入ってしっかりつながるようになれば、現状を打破する大きなきっかけになるのではないでしょうか。
【阪神は優勝を支えた"クリーンアップ"揃い踏みの活躍に期待】
昨季、圧倒的強さで春先から首位を独走し、18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一を達成した阪神は、予想以上に苦しんでいるなと感じます。
春季キャンプで岡田彰布監督に取材させてもらったんですけど、「昌、ウチ昨年より強いよ」と仰っていて。主力は年齢的にも脂が乗っている選手が多いですし、開幕メンバーも昨季とほとんど変わらなかったので、岡田監督が話していたとおり、今季も上位にいるのは間違いないだろうと思っていました。ですので、成績が伸び悩むこの現状は、けっこう意外でした。
その要因としては、やはりなかなか点が取れない打撃陣にあるかなと。特に重症なのは、昨季クリーンアップとしても活躍した3選手。4番の大山悠輔は、出塁率.403をマークして最高出塁率のタイトルを獲得した昨季と比べ、打率は伸びず、四球の数も減ってファーム落ちも経験。5番の佐藤輝明選手も不振や守備のもろさが原因で長らく1軍に合流できずにいました。3番を打っていた森下翔太選手も打率1割台を推移している時期が続き、状態が上がらず現在2軍調整中です。
こういった主軸を担う選手たちの調子の悪さもあり、本当にうまく得点できないな、というのが前半戦の印象です。でも、逆に、このチーム打率や得点数でよく貯金を作れているなと思いますね。
おそらくそれは、才木浩人投手をはじめとするエース級のピッチャーたちが、リーグのなかでトップ級の活躍をしているからこそ。なので、あとは打線、クリーンアップの調子が上がるのを待つだけです。でも、ただ上がるだけではなく、森下、大山、佐藤輝の3人が揃い踏みで活躍しないと意味がないんじゃないかと、僕のなかでは感じています。
いま貯金があるということは、後半戦、クリーンアップの状態次第では一気に突き抜ける可能性もありますから、彼ら3人に期待したいなと思いますね。
2 / 3