奥川恭伸、涙の980日ぶり勝利の陰で 長岡秀樹、武岡龍世、大西広樹...ヤクルト2019年ドラフト組の「再会物語」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 今シーズンも早出練習は欠かさず、試合前練習でもチームメニューを消化後、練習時間ギリギリまで大松尚逸打撃コーチとバットを振り続けている。その結果、ここまで(6月26日現在)打率.276でリーグ6位につけレギュラーの座をがっちりとつかんでいる。

 長岡は6月14日の試合について、こう振り返った。この日はヒットこそ出なかったが、1打点1得点で勝利に貢献。

「試合中は集中していていつもどおりでしたけど、終わってみて、やっぱり同期入団の選手が一軍の試合に出て勝利できた。すごくうれしい感情が湧いてきましたね」

【ようやく3人一緒に同じ舞台に立てた】

 武岡は14日の試合で4打数2安打と結果を残した。

「僕的には同級生の3人が、ピッチャーと二遊間として一緒に先発できたことはもちろん楽しめたのですが、今はそういった感慨にひたれるほどの立場じゃないので......」

 ここまでの時間について、武岡は「僕も(長岡)秀樹みたいにパーンと出たいんですけどね」と笑った。

「二軍の育成担当の方には『おまえはそういうタイプじゃなく、徐々に段階を踏んでいくタイプ』と言われていますし、そういう意味では順調にきているのかなと思います。年々、試合に多く出させてもらっていますので」

 打撃では「フォームを変えたのわかりましたか」「バットを倒すのはやめました」「もう派手にいくことはやめました。空振りしたら意味がないので」など、試行錯誤を続けてきた。

 今年は初の開幕一軍を果たすも、打率はしばらく1割台が続いた。それでも「結局、(打率は)収束すると思うんです」と、常に前を向いてきた。

「だって、頑張ってるんですもん。ハハハハッ。これだけ頑張っているのに上がらなかったら、『もういいや』ってなってしまいますよ」

 6月16日のオリックス戦では、9回表に決勝打をマーク。今はセンターから逆方向を意識しながら、ホームランは自己最多となる3本を放っている。

「今年は例年に比べてバットが振れています。去年まではバットの遠心力を使うことを意識していたのですが、今年は逆にしならせないようにやっています。そのことでボールに力が伝わっている感じで、そこはウエイトを続けてきた効果もあるのかなと。体重も増えたし、筋肉量も3キロ増えました。今シーズンは、100試合は出たいですね。ホームランも5本は打ちたいですけど、そんなに甘い世界じゃないので」

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