5年ぶり日本球界復帰で劇的弾! 筒香嘉智は「完全復活」と言えるのか? 名コーチ・伊勢孝夫の答えは?
5年ぶりの日本復帰となった5月6日のヤクルトとの試合で、いきなり逆転3ランを放ったDeNAの筒香嘉智。さらに11日の阪神戦でも決勝ホームランで大逆転勝利を演じるなど、筒香のバッティングはDeNAファンならずとも関心が高い。5年ぶりに日本球界復帰となった筒香にブランクはあるのか? かつて名コーチとして多くの強打者を育てた伊勢孝夫氏に、筒香のバッティングについて解説してもらった。
日本球界復帰となった5月6日のヤクルト戦で逆転本塁打を放ったDeNA筒香嘉智 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る
【スイング自体に問題はない】
ファームの試合から見ているが、正直「まだもう少し時間がかかるかな」という感じだ。本当はもう少し二軍で調整させたかったが、ファンの期待もあり、早めに昇格させたのかもしれない。打席の感じを見ていると、そんな印象を受ける。それでも"ここぞ"という場面でホームランを放つなど、結果を出すところはさすがだ。
筒香のバッティングを見て感じたのは、実戦から遠ざかっているバッターの状態だということだ。スイングのキレもいまひとつで、タイミングも遅れ気味。だから145キロ程度の真っすぐでも詰まってしまうシーンがあった。
ただ、体のキレは時間とともに戻ってくるだろうし、スイング自体に大きな問題はない。
また多くの人が指摘しているように、日米投手の"間(ま)の違い"の対処はどうか。アメリカではショートアームの投手が多いのに対し、日本はテイクバックをしっかり取る投手がほとんどだ。
そのため"米国慣れ"している打撃フォームだと、日本の投手はタイミングが取りづらいと言われているが、そこについても問題はないように思う。むしろ、日本の投手の間に慣れすぎていたため、メジャーで苦悩したのではないか......そう思ってしまうほどである。
とはいえ、筒香が不在だった4年間で日本の投手もずいぶんと成長した。平均球速は上がっているし、豊富な変化球を操るようになっている。昔の感覚でいたら、筒香と言えども戸惑うだろう。
それに対応するためにはゲーム勘を磨く必要がある。タイミングについては、試合に出続けていれば自然とアジャストできるようになると思うが、問題はインコースを克服できるかどうかだ。今後の筒香を見ていくポイントは、この一点につきる気がする。
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著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。