検索

5年ぶり日本球界復帰で劇的弾! 筒香嘉智は「完全復活」と言えるのか? 名コーチ・伊勢孝夫の答えは? (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

【懸念される年齢的な衰え】

 そうしたこととは別に、もうひとつ気になることがある。それは年齢からくる"衰え"だ。筒香は28歳の時にアメリカに渡って、32歳で戻ってきた。この20代後半から30代前半というのは、選手として最も脂が乗りピークを迎える。つまり筒香は、これから衰えてくる時期に差しかかるというわけだ。

 バッティングというのは、構えてから始動し下半身から上半身を連動させてスイングするのだが、30歳を超えると徐々に鈍くなるというか、スムーズに連動できなくなる。これは感覚的なもので、本人も気づかないことが多い。しかし、長年コーチとして多くの選手を指導してきたが、年齢からくる感覚のズレというのは確実にあった。

 すぐれたバッターは、こうしたズレを技術で補い結果を出していくわけだが、筒香はいかにして乗り切っていくのか注目したい。

 これは体の状態にも大きく影響する。今は緊張感だけでなんとかしのいでいる気がするが、そのうちドッと疲れが出てくるはずだ。そのときに三浦大輔監督は休養を入れながら使っていくのか、手腕が問われることになるだろう。

 いずれにしても、145キロ以上のインコースの真っすぐをさばけるようになればしめたものだ。このコースを長打にできれば、完全復活と言っていいだろう。チームも筒香の長打力を期待して迎え入れたと思う。それがほかのバッターと同じレベルの活躍では物足りない。やはり筒香には、大砲として飛び抜けた結果を期待したい。

 本気モードを発揮するのは、まだ20打席くらいは必要だろう。本当の意味で、筒香の活躍を占うのはそれからだ。

著者プロフィール

  • 木村公一

    木村公一 (きむらこういち)

    獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る