斎藤佑樹のプロ9年目、2年続けて一軍0勝も「野球が楽しい」と思えたワケ (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

【今でも思い出す安達了一への1球】

 そしてこのシーズン、僕は開幕戦で中継ぎとして登板したあと、チームの6試合目に先発しました。仙台での東北楽天ゴールデンイーグルス戦でしたが、最初から打順のひと回りというオープナーの役割を伝えられていました。

 でも、その期待に応えることができませんでした。初回、茂木(栄五郎)と銀次さんに真っすぐを打たれてしまいます(いずれもタイムリー)。2回もツーアウトを取りながら1番の田中和基を歩かせたところで交代......結局、打順のひと回り、バッター10人に投げて3点を失ってしまいました。先発を任せてもらったのはこの試合だけで、その後は中継ぎやショートスターターの第2先発という役割に回ることになります。

? 投げるのは1イニングから、第2先発の場合は3イニング、球数にすると最大60球くらいまででした。4月から5月にかけてはおもに中継ぎ、その後、二軍でもいい状態をキープして、7月に一軍に戻った時には第2先発として3イニングを任せてもらいました。

 それなりの結果もついてきていたんですが、夏のオリックス・バファローズ戦(8月6日、札幌ドーム)で、安達(了一)さんに痛恨の一発を打たれてしまいます。あの日は堀(瑞輝)がオープナーとして先発、僕が第2先発として2回から登板することになっていたんですが、あの日のピッチングのことは、なぜかよく覚えています。

 とにかくフォーシームがすごくよかったんです。指にしっかりとかかっている感覚があって、トラックマンの数字を見てもホップ成分が高かった。その時のフォームも、バッターがタイミングを取りづらく感じているのかなという印象を受けていました。だからその日に最初に対戦したバッターのひと振り目は、ほとんどがファウルになっていた印象です。だから自信を持って真っすぐを投げられていました。

 4回、ワンアウト満塁から西野(真弘)に投げた真っすぐをレフトへ打ち上げられて、犠牲フライで1点。その直後の安達さんでした。西野も真っすぐに少し差し込まれた感じがあったので、安達さんにも初球、自信を持って真っすぐを投げました。

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