高木豊が語る好調・阪神タイガース 打線は「もう少し上向いてくる」投手陣は安定も「気になるのは......」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【より勢いに乗るための投打のキーマン】

――打線はもう少し上向いてくるとのことでしたが、キーマンは誰になりますか?

高木 1番の近本光司と2番の中野拓夢が出塁すれば点が入るという形がありますが、結局は佐藤が打ったら楽になります。実際に佐藤は打点が多いですし(リーグ3位タイの14打点)、彼が明暗を握っていると言っても過言ではないです。走者がたまって佐藤に回ってくることが多いから、そこで1本が出ると試合が有利に進められますし、逆に出ないと苦しい戦いになりやすい。

 一方で残塁も目立つのは、たとえば4番の大山悠輔から攻撃が始まって、6、7番に回ってきたときにランナーを還せなかった、8番が敬遠されてピッチャーが打てなかった、というパターンが多い。その点で、やはり木浪の状態が上がってくると大きいです。昨季は下位打線の木浪の打点がポイントになりましたから、木浪がもう少し機能してくると、つながる打線になりますね。

――主に3番を打っている森下翔太選手はリーグ2位の16打点と、勝負所での殊勲打が目立ちます。

高木 ここ一番で頼りになりますよね。毎試合ヒットが出るようになってきましたし、すごく魅力のある選手です。もう少しチャンスメイクも考えてくれると、より怖い打線になるかなと思いますが、出塁率(リーグ5位の.365)もいいですし、チームとともに上昇気流に乗ってきた感じがします。

――ピッチャー陣は安定しているとのことですが、心配な点はありますか?

高木 シーズンが進むにつれて登板過多になるピッチャーが出てきますし、夏場に向けて疲れが出てくるとは思います。ただ、そうなったとしても門別啓人らが控えていますし、ピッチャー陣の層が厚いのでそれほど心配はないです。

 ただ気になるのは、西勇輝があれだけいいピッチングを続けているのに勝ち星がつかないこと(3試合に先発して0勝1敗、防御率1.69)。いくらいい投球をしていても腐ってしまいますから、その前に勝ちをつけさせることが大事。西だけでなく、勝たせなきゃいけないピッチャーには、早く勝ち星をつけたいですね。岡田彰布監督は昨季の疲労なども考慮して、村上頌樹、大竹耕太郎が昨季のような成績を残せるとは計算していないでしょうから。

 その分、青柳晃洋と西に期待しているはずです。昨季もこのふたりは後半に活躍しましたが、シーズン開幕当初につまずきました。今季は西が絶好調で、青柳も昨季ほどは悪くないので、村上と大竹が昨季に挙げた勝ち星を補填したいと考えているでしょう。西と青柳が勝ちを重ねていければ他チームにとっては脅威です。ただ、思うように勝てないことが続くと、常に少しの不安を抱えながら戦わないといけません。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る