北條史也が振り返る阪神時代の苦悩の11年 「プロに入って1、2年目でホームランはあきらめた」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

北條史也インタビュー(前編)

 慣れ親しんだ甲子園球場から、社会人野球の舞台へ──。2024年に企業チームの強豪・三菱重工Westに加入する北條史也。光星学院(現・八戸学院光星)では田村龍弘(現・ロッテ)との強力タッグで3季連続甲子園準優勝を経験。甲子園通算29打点は清原和博(PL学園/元・西武ほか)と並ぶ歴代最多タイ記録だった。

 阪神タイガースでも11年間にわたりプレーし、通算455試合出場、308安打を記録している。かつては「坂本勇人(巨人)二世」ともてはやされた逸材にとって、プロ野球人生はどんなものだったのだろうか。新天地での展望を含め、北條に激闘の日々を振り返ってもらった。

昨年10月に阪神から戦力外を受けた北條史也 photo by Ushijima Hisato昨年10月に阪神から戦力外を受けた北條史也 photo by Ushijima Hisatoこの記事に関連する写真を見る

【プロに入ってホームランをあきらめた】

── まずは社会人の三菱重工Westに合流して、率直な感想を教えてください。

北條 タイガースで11年間ずっといさせてもらったので、新鮮な部分が大きいですね。プロと違う部分もあると思うので、早く慣れていきたいです。

── 社会人野球にはどんなイメージがありましたか?

北條 まずレベルが高いということ。あとは一発勝負のトーナメント戦のイメージが強くて、「高校時代の感覚に戻るんかな?」という気がしています。

── 阪神の同僚には、社会人出身の中心選手が多かったですよね。糸原健斗選手(JX-ENEOS出身)、木浪聖也選手(Honda出身)、近本光司選手(大阪ガス出身)、中野拓夢選手(三菱自動車岡崎出身)など。みんなしぶといイメージです。

北條 言われてみればそうですね。社会人出身の選手は淡白な感じがないし、しつこく粘り強く、1打席にかける思いが強い気がします。

── そんな同僚から影響を受けたところもあったのでしょうか?

北條 見習う部分は多々ありましたが、自分もそういう気持ちでやっていたほうだと思います。もちろん、結果が出なかった時には引きずらないようにしていましたが。プロ野球は年間通して試合があって、切り替えが大事なので。

── あらためて11年間を振り返ってみて、入団時に思い描いていたプロ野球選手生活は送れたのでしょうか?

北條 思い描いていたどおりには全然いってないです。高校では主力で長打を打てるほうだったので、プロでもクリーンアップを打ちたいと思っていました。でも、プロに入って1、2年目でホームランはあきらめたというか......。

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