細川成也が中日移籍1年目で結果を残せた理由「見えていなかったものが見えてくる感じ」
沖縄・北谷(ちゃたん)の空に、豪快なスイングから放たれた打球があっという間に吸いこまれていく。打球の主は、ドラゴンズ移籍2年目を迎えた細川成也だ。昨年は現役ドラフトで移籍して、引退覚悟がけっぷちで挑んだシーズン。細川はチームナンバーワンの24本塁打と78打点を叩き出し、ルーキーイヤーから圧倒的と評された長距離砲の才覚がついに開花した。今季はチームの中心打者としてさらなる期待がかかる25歳。「今年が本当の勝負の年」と意気込む、今シーズンの心持ちを聞いた。
中日移籍1年目の昨年、チーム最多の24本塁打、78打点をマークした細川成也 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る
【毎試合、打席に立てることが幸せ】
── 立浪和義監督が「練習できる体力がある」と評価されていましたが、このキャンプでもいつも最後まで残っていて、本当によく練習されますね。
細川 いや、そんなことありませんよ。やっぱりまだまだ課題ばっかりなので、それに向き合っている、という感じです。本当に今年は勝負の年ですから。僕はまだ1年間出ただけなので、去年で終わらないようにもっと頑張らないといけないです。
── 昨年、ついに待望の結果が出ました。ご自身ではどのように分析されていますか?
細川 去年はもう本当に「これで結果が出なければ野球を辞めなければいけない」という瀬戸際だったので、1年間、本当に死ぬ思いでやろうと決めていました。ドラゴンズに来てから、いろんなものを全体的に変えたということもあるのですが、キャンプから監督やバッティングコーチの和田(一浩)さんが、本当にずっと長い時間一緒にやって、その時々にアドバイスをいただけたので、その存在が一番大きかったかもしれません。
── DeNA時代は「あとはタイミングの取り方を見つけるだけ」とコーチの方が言われていたことを思い出しますが、ドラゴンズに来て立浪さん、和田さんの教えがハマったということでしょうか。
細川 ハマったんですけど、それはタイミングの取り方だけでなく、全体的にガラッと変えたところもあるので。感覚的なものや、もちろん大きく足を上げてタイミングを取るとか、複合的な部分が重なっていい方向にいけたのかなとは思います。ただ、まだ完璧というわけじゃないので、まだまだですけど、少しはよくなったのかな、と。
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著者プロフィール
村瀬秀信 (むらせ・ひでのぶ)
1975年生まれ。神奈川県出身。茅ケ崎西浜高校野球部卒。主な著書に『止めたバットでツーベース 村瀬秀信 野球短編自撰集』、『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史』、『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』など。近著に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』がある。