「大谷翔平に敵う選手はいなかった」プレミア12、WBCで世界と戦った平田良介がセパ交流戦で見た衝撃 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【衝撃だった藤川球児のストレート】

── 2022年から立浪和義監督が指揮を執りますが最下位。平田さんもこのシーズンを最後に現役引退。プロ17年で通算1227試合、1046安打、打率.268、105本塁打、484打点、41盗塁の成績を残しましたが、対戦した投手のなかで「ベスト3」を挙げてください。

平田 まず藤川球児さんです。ストレートは速いのですが、見えないということはありません。しかしホップしているのか、ボールのかなり下を振ってしまう。バットに当たらないんです。そんな感覚は藤川さんだけでした。

── 次はどなたですか。

平田 ダルビッシュ有さんです。ストレート、スライダー、ツーシーム、シンカー、フォーク......11種類とも言われた球種を駆使し、どのボールでも空振りがとれる。あれだけ完成度の高い変化球を何種類も投げられるのは、ダルビッシュさんだけじゃないでしょうか。

── 最後はどの投手でしょうか。

平田 阪神で活躍されたジェフ・ウィリアムスさんです。スライダーを打ったと思ったらストレートでした。左サイドスローから放たれるストレートは、それぐらいクロスファイアーでインコースに食い込んできます。威力十分のボールでしたね。

── 同じ打者としてすごいと思ったバッターはいましたか。

平田 まず大谷翔平です。セ・パ交流戦で試合前のフリー打撃を見たのですが、ひとりだけ打球速度が突出していて、度肝を抜かれました。当時は今のように筋肉質の体ではなかったですが、左中間スタンドに簡単に放り込んでいました。昨年、メジャーで本塁打王を獲得しましたが、ある意味ホッとしました。「あれで本塁打王を獲れないのなら、メジャーリーグは一体どんなレベルなのだろう」と。2015年にプレミア12、17年はWBCに出場し、多くのスラッガーを見ましたが、やはり大谷にはかないませんね。

── ほかに印象に残った打者はいましたか。

平田 柳田悠岐選手のフルスイングから放たれる逆方向への飛距離は段違いです。また、中日で一緒にプレーしたタイロン・ウッズも印象に残っています。とにかく彼が打席に入る時のファンの期待はすごかった。中日での4年間で155本塁打、426打点。本当に頼りになる打者でした。


平田良介(ひらた・りょうすけ)/1988年3月23日、大阪府生まれ。大阪桐蔭高では1年秋から4番を務め、3年夏の甲子園準々決勝で1試合3本塁打をマーク。2005年高校生ドラフト1巡目で中日から指名を受け入団。入団後はなかなかレギュラーに定着できずにいたが、11年に113試合に出場し、14年に初めて規定打席に到達。15年にはベストナインを初受賞した。16年には主将に任命され、翌17年はWBC日本代表に選出。22年シーズンを最後に現役引退。現在は解説者の傍ら、エースファクトリーベースボールクラブに入団し軟式野球に励んでいる。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る