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変わりゆく世界の野球事情 日本の独立リーグは「共存」と「生存」を実現できるか? (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 その枠で想定されるのが、日本人独立リーガーだ。好条件として韓国までの渡航費を安く抑えられ、視察もしやすい。2023年のドラフト会議ではNPB球団から23人の独立リーガーが指名されたように、実力的にも可能性を秘めた者たちが多くいる。

 韓国、台湾、メキシコ、そしてハヤテ&新潟──。

 今オフに見られる新たな動きは、選手たちにとってチャンスの拡大と言える。

 対して、影響を受けるのが日本の独立リーグだ。

 まずプラスの面として、移籍金の発生が挙げられる。色川氏によると、韓国(KBO)や台湾(CPBL)球界に移籍する場合、シーズンオフのタイミングでも日本の球団に保留権があり、移籍金が支払われるという。

 逆に、マイナス面は選手の"流出"だ。世界のプロ野球をピラミッドで考えた場合、日本の独立リーグは底辺に位置する。小野寺や鈴木がCPBLに移籍、さらにハヤテが村上航、二宮衣沙貴(ともに元茨城)ら14人の元独立リーガーを獲得したことは、その位置づけをよく示しているだろう。

 ただし、色川氏は悲観的に捉えるのではなく、世界の情報をしっかり集めたうえで、然るべき準備を整えるべきだと言う。

「選手が流失していくと嘆くのではなく、若者の挑戦を応援するのが僕の立場です。選手たちにとってはチャンスですからね。そのうえで、どうやって独立リーグをより魅力的な場所にしていけるか。資本主義の世界で大事なのは、世界のマーケットとの『共存』と『生存』です。球団、またはリーグの当事者として、生存戦略をしっかり考えていく必要があります」

 世界の野球界で新たな動きがあれば、当然、選手たちの契約にも影響が出てくる。はたして、今オフの動きはどこにつながっていくのだろうか。その先を予想するうえでも、まずは、各国で起こっている変化を知ることが重要だ。

 日本の独立リーグの歴史は2005年にスタートした四国アイランドリーグに端を発し、来年20年目を迎える。NPBに多くの人材を供給するようになってきた一方、経営や認知度は厳しいままだ。はたして今後、より魅力的なリーグ、球団をつくっていくことはできるか。

 世界の野球界がさまざまに変わっている今、独立リーグも真価が問われている。

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