変わりゆく世界の野球事情 日本の独立リーグは「共存」と「生存」を実現できるか?
山本由伸(オリックス)や今永昇太(DeNA)らポスティングシステムでメジャーリーグ(MLB)移籍を狙う大物や、西武からフリーエージェント宣言した山川穂高の行き先が大きな注目を集める2023年オフシーズン。
少し視点を変えると、例年とは異なるマーケットの動きが目につく。
【NPBファームに2球団が参戦】
2017年にセ・リーグ最高勝率を獲得した薮田和樹(元広島)、2016年セ・リーグ新人王の髙山俊(元阪神)、DeNA時代にオールスターに2度出場した三上朋也(元巨人)、2023年ウエスタン・リーグで最多セーブを記録した小林慶祐(元阪神)らが、2024年からNPBのイースタン・リーグに参入するオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブへ。
同じく2024年からウエスタン・リーグに参戦するハヤテ223には、ソフトバンクやロッテでプレーした福田秀平、2015年にオールスターに出場した元DeNAの左腕投手・田中健二朗、DeNAで8年間プレーしたのちに社会人野球の日本新薬に移籍した倉本寿彦ら10人のNPB経験者が加入した。
新潟とハヤテは2024年からNPBのファーム参戦が決まり、選手たちにとって新たな選択肢が生まれたわけだ。
世界に目を向けると、ほかにも新たな動きがある。2024年から台湾プロ野球(CPBL)の一軍に参入する台鋼ホークスは、DeNAから自由契約になった左腕投手の笠原祥太郎を獲得。さらにBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズから右腕投手の小野寺賢人を加えた。
同じくCPBLの楽天モンキーズは、BCリーグの信濃グランセローズから右腕投手の鈴木駿輔を補強している。
台湾球界に新天地を移す小野寺と鈴木はNPBでの経験こそないが、いずれもドラフト候補に挙げられてきた実力者だ。
「ふたりは独立リーグで年間通して先発すれば、10勝できる力のあるピッチャーです。外国人選手のように160キロを投げるほどのインパクトはないですが、持っている球種や能力、生き抜く力を含めて、"戦える選手"として非常に価値がある。そこを評価されたのだと思います」
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。