オリックス中嶋聡監督の変貌に福本豊と山田久志は驚き「あの大雑把だった男が...」 (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

福本 今のオリックス投手陣は......ちょっとボールが速すぎるわ(笑)。ただね、今の選手を見ていて思うのは、みんなワンバウンドの球を振るのが多い。それだけ投手の変化球の精度も上がっているんやろうけど、この球をしっかり見極められるかどうか。待ち方としては、速いか遅いかの2つに1つ。真っすぐ、スライダー、シュート系は速い球、カーブ、フォーク、チェンジアップが遅い球。そこをしっかり分けて待てたら、落ちる球でもある程度(バットが)止まると思うんやけど。

山田 そこを見極めて福本さんが塁に出たら、それで1点ですよ。

── さて、夢の対決も興味が湧きますが、ここからオリックスはCSファイナル、勝てば日本シリーズと続きます。

福本 僕は阪神戦もよく見てるから、もしオリックスと阪神の日本シリーズになったらラオウ(杉本裕太郎)とサトテル(佐藤輝明)の勝負になると思うてるんです。たまに飛ばすびっくり箱対決で、どっちに軍配が上がるか。あと、オリックス打線が阪神投手陣を打つのは簡単やないけど、2年続けて日本シリーズを戦った財産は大きい。そこはたしかやと思います。

山田 その対決になったら、岡田(彰布)監督も燃えるやろうから面白いね。阪急OBとしたら、ここからオリックスにはもっと勝ってもらって、我々が達成した日本シリーズ3連覇、リーグ4連覇に追いつき、やがて追い越してほしいね。

福本豊(ふくもと・ゆたか)/1947年11月7日、大阪府生まれ。大鉄高(現・阪南大高)から松下電器を経て、68年ドラフト7位で阪急に入団。2年目の70年にレギュラーを獲得すると、類まれな盗塁技術で75盗塁をマークし、盗塁王を獲得。72年にはシーズン106盗塁の世界記録(当時)を樹立。その後も不動のリードオフマンとして活躍。山田久志、加藤秀司らと阪急黄金時代を支えた。88年に現役を引退し、オリックス、阪神でコーチを務めた。02年に野球殿堂入り

山田久志(やまだ・ひさし)/1948年7月29日、秋田県生まれ。能代高から富士製鐵釜石(新日鐵釜石)を経て、69年ドラフト1位で阪急に入団。3年目の71年にシーズン22勝、防御率1位に輝くと、阪急のエースとして17年連続2ケタ勝利。76年から史上初の3年連続MVPに輝いた。「史上最高のサブマリン」と評され、最多勝3回、最優秀防御率2回など数々のタイトルを獲得した88年に現役を引退し、その後はオリックス、中日の投手コーチを歴任。02年から03年途中まで中日の監督を務めた。06年に野球殿堂入り

プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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