オリックスはなぜこんなにも強くなったのか? 阪急レジェンドOBが徹底分析
福本豊×山田久志 阪急ブレーブス・レジェンド対談(前編)
いよいよクライマックス・シリーズ(CS)ファイナルが始まる。パ・リーグは球史に残る逆転勝利で勝ち上がってきたロッテを、リーグ3連覇のオリックスが迎え撃つ。この戦いを前に、オリックスの前身である阪急で日本シリーズ3連覇を含むリーグ4連覇を成し遂げたレジェンド、福本豊と山田久志の両氏による対談が実現。ふたりの目にリーグ3連覇を果たした今季のオリックスはどう映ったのか。
圧倒的な強さでリーグ3連覇を達成し、胴上げされるオリックス・中嶋聡監督この記事に関連する写真を見る
【投手力は西武黄金時代に匹敵】
── 今シーズン、オリックスは圧倒的な強さでリーグ3連覇。この戦いをどう見られていましたか。
山田 オリックスが強いのか、ほかがだらしなかったのか......15.5ゲーム差をつけるほど強いかと言われたら、そうは思わないというのが正直なところ。投手力はすばらしいけど、3連覇するようなチームは打線が固定され、しっかりした軸もいて、もっと迫力があるからね。
福本 打順を入れ替えたら、それが見事にハマる。6番とか7番に入った選手がパカーンと打って、「なんで?」っていうのがよくあった。データはもちろんやろうけど、ベンチがよく見て使っているんやろうね。ただ、何をおいても野球はピッチャー。次から次に育ってきて、強かった頃の西武やなと思うて見てました。
山田 あの頃の西武は根本(陸夫)さんがいて、スカウティングの力をまざまざと見せつけた。今のオリックスは福良(淳一)GMが先頭に立ってやっていて、現場とフロントが一体になってやっている感じがする。まだまだ下(ファーム)にいい選手がいるからね。
福本 シーズン途中から出てきて6勝した東(晃平)も育成やからね。ああいうのをうまいこと見つけてきて、しっかり育てていますよ。
── 一方で2020年のドラフト1位、山下舜平大投手も順調に成長しています。
山田 舜平大を初めて見た時、中嶋と福良に「コイツはオレが今まで見てきたなかでもモノが違う。必ずエースになる器だから、しっかり育てないかんよ」と言ったんだけど、(山本)由伸がバリバリ投げている間に舜平大が出てきたのはよかった。大エースがいる時に、次の候補が出てくると続いていくんですよ。首脳陣もそれが頭にあったから、開幕から任せたんでしょう。
福本 目の前にええサンプルがあると、見て覚えて、成長する。これ以上の教科書はないからね。
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プロフィール
谷上史朗 (たにがみ・しろう)
1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。